
チョコレートの製造コストの約半分はカカオバターが占める。カカオの産地は気候変動や病害に弱く、2024年には不作により価格が400%以上急騰した。この供給リスクに対し、植物細胞培養技術で解決を図るスタートアップがイスラエル発のCelleste Bioだ。
同社は2026年4月15日、細胞培養カカオバターを使ったミルクチョコレートバーを製造したと発表した。戦略パートナーであるMondelēz International(「トブラローネ」で知られる大手菓子メーカー)が同社のカカオバターを使って約10本以上のチョコレートバーを試作し、品質・食感・風味が自社製品の基準を満たすことを確認した。同社のプレスリリースによれば、細胞培養カカオバターを使ったミルクチョコレートバーの製品化は世界初の試みだという。
Celleste Bioの細胞培養技術では、カカオの細胞を培養液中に懸濁させてバイオリアクターで増殖させる。生成されたカカオバターは、通常の豆から抽出したものと化学的・機能的に同一(バイオアイデンティカル)で、脂肪酸プロファイル・溶融温度・食感・パリっとした食感のすべてが一致するという。同社CTOのHanne Volpin氏によれば、1000Lのバイオリアクターでカカオ豆1粒から年間1トンのカカオバターを生産できる見通しで、同量を農業で得るには約1ヘクタールのカカオ栽培が必要になる。2035年までに年間5万トンの生産を目標としており、これはチョコレート業界が必要とする200万トンの約5%に相当する。
Celleste Bioは2022年設立。Mondelēz Internationalのほか、Supply Change Capital・Trendlines・Barrel Venturesなどから累計560万ドル(約8億9000万円)を調達している。今回の成果を受け、2027年の商業生産開始に向けてスケールアップを進める方針だ。

