
MDMチームのCompute Module 4ベースASV「Cariddi」
海洋調査や水中インフラの点検は、過酷な環境と深水域、高コストが重なる難しいフィールドだ。人間に代わる自律型水中ロボットへの需要は高いが、低コスト化と実用性の両立が課題とされてきた。
イタリア・フィレンツェ大学のメカトロニクスやロボティクス、水中機体設計を専門とする研究者たちが立ち上げたスピンオフ企業のMDM Teamは、Raspberry Pi Compute Module 4(CM4)を搭載した自律型海洋ロボットを開発している。Raspberry Pi公式サイトが2026年3月に同社の取り組みを紹介した。
同社が開発した機体はASV(自律型水上艇)の「Cariddi」と、マイクロAUV(自律型水中機)の「Stok」の2種類だ。どちらも内部にCM4を2基搭載したデュアルシステムを採用しており、センサーデータの処理とナビゲーションを自律的にこなす。人間のオペレーターが乗り込まずに、水深測量や水中インフラ点検などの作業を遂行できる。

CM4を選んだ理由として同社はコンパクトさとエネルギー効率を挙げる。水中ロボットは浮力と運用時間がバッテリー容量と重量に直結するため、ハードウェアの省スペース化と低消費電力化が設計の前提条件になる。CM4のLinuxサポートが豊富な開発ツールへのアクセスを可能にした点も決め手のひとつだという。
MDM Teamの機体は海洋科学研究や環境モニタリングから、防衛・インフラ点検まで用途に合わせてカスタマイズできる。Raspberry Piをベースにすることでコストを抑え、大型の調査船や人員を必要とせずに海洋データを収集できる環境が整う。

