
DOS時代のPCで音を鳴らすために使われた拡張カードが、新たに作り直される。開発チームのEdro氏とLeo氏は2026年5月12日、ISA接続のサウンドカード「Orpheus II」を反響を受けて再生産すると公式サイトで告知し、予約の受付を始めた。
Orpheus IIは、1990年代のPCに挿して使う16bitのISAサウンドカードだ。狙いは、当時のDOSやWindows 9x向けのゲームを、エミュレーターではなく本物のチップで鳴らすことにある。1枚の基板に役割の異なる3系統の音源をまとめており、実質的に3枚分のカードとして働く。
1つ目はCrystalのCS4237Bで、Sound BlasterやSound Blaster Pro、Windows Sound System(WSS)に対応する。2つ目はYamahaのOPL3チップ(YMF262)で、多くのDOSゲームが鳴らしたFM音源を担う。3つ目はAMDのInterWaveチップで、サンプリング音源で人気を集めたGravis UltraSound(GUS)のPnP仕様と同じように動く。GUSの実機はいま中古市場で高値が付き入手も難しいが、Orpheus IIなら新品の本物のハードでその音を再現できる。InterWave用には1MBのROMと、最大16MBまで増設できるSIMMソケットを備える。
MIDI出力は、CS4237の内蔵方式と、より高機能なPCMIDIの2通りを選べる。ゲームポートやLine IN/OUT、同軸のS/PDIF出力、ウェーブテーブル用ヘッダーも備え、基板は4層で作られている。
旧モデルからの主な進化は、GUS相当の機能が加わった点と、OPL3をWindows 9xでも使えるようにした点だ。従来はWindows上ではCrystalのFM音源しか選べなかったが、新たな接続方法でYamahaのOPL3を選べるようになった。最新のリビジョン1.1では、OPL3チップを当時の定番YMF262に変更している。
ただし、開発チームは上級者向けのハードだと念を押す。GUS PnPの扱いやゲームごとのパッチ、3系統を同時に動かすためのIRQやDMAの割り当てなど、相応の知識と手間が要るためだ。
価格は1枚340ユーロ(約6万3000円、送料込み)。予約には50%の前金が必要で、米国向けは配送事情から送料が35ユーロ(約6500円)追加される。予約は2026年5月31日まで受け付け、出荷は7月以降を見込む。エミュレーションが容易になった今もなお、当時のチップを新規に基板へ載せ直す小規模なものづくりが、退役した規格の音を現役にとどめている。

