
ハシビロ工業という名義で活動する織田翼氏が、ブラウザーで動くソリッド3D CAD「ハシビロCAD」を公開した。インストールは不要で、料金はかからない。商用利用も認めている。スケッチ、押し出し、回転体、フィレット、面取り、シェル、STEPの読み書き、複数ボディ、簡易的なアセンブリが動く。
公開までの経緯を本人に尋ねたところ、2026年9月5日の早朝にChatGPT上で構想を始め、その日の午前中に最初のβ版を公開したという。最初の会話から公開までおよそ5時間で、純粋な作業時間ではなく、作ろうと話し始めてから公開までの経過時間にあたる。実装にはCodexなどの生成AIを使い、本人は仕様と操作感、優先順位、検証方針を決める側に回ったと説明する。
中身は既存の部品を組み合わせている。形状の計算を担うのはOpenCASCADE(OCCT)で、JavaScriptからはReplicad 1.1.0を高水準のAPIとして呼ぶ。OCCTはWebAssemblyに変換したものをブラウザー内のWeb Workerで動かす。ブーリアン演算、フィレット、面取り、STEPの読み書きといった形状そのものの処理はここが引き受ける。表示はThree.jsが受け持つ。形状の正本はOCCT側のB-Repとして保持し、表示用にメッシュ化して描く。
織田氏が書いたのは、CADアプリケーションとしての層だ。スケッチの入力、閉じた領域の判定と選択、操作の状態管理、履歴、複数ボディ、部品の配置、独自の保存形式「.katachi」、そして画面まわりが該当する。
配信されるファイルは2つに分かれる。アプリ本体のJavaScriptが約925KB、OCCTのWebAssemblyが非圧縮で約23MB、圧縮後の転送量で6〜7MBほどになる。計算をサーバーへ送る仕組みはなく、モデリングはブラウザー内で完結する。CDNはアプリとWASMの配信にのみ使っている。
ソースコードは非公開だ。β版で変更が多いため安定を優先しており、落ち着いた段階でMITライセンスによる公開を視野に入れているという。動作環境は開発中で、スマートフォンやタブレットのタッチ操作への対応も進めている。
織田氏は開発の狙いを、Fusionを起動するほどでもない作業を、URLを開いてそのまま済ませられる道具だと説明する。同氏は2024年3月にM5Stack ATOMS3をマクロデバイスにするファームウェア「Chameleon Key」を公開し、2026年3月にはロータリーエンコーダーなどを足せる「Chameleon Key V1 Chain Edition」を出している。

