
試作した基板が動かないとき、原因を確かめるにはオシロスコープやロジックアナライザー(デジタル信号の変化を記録する測定器)が要る。手元のRaspberry Pi Picoを、それらをまとめた計測ツールに変えるファームウェアが「Pico.Lab」として公開された。作ったのはドイツのMaximilian Kern氏で、I2Cのセンサーが応答しない理由やWi-Fiモジュールの消費電流を、説明書を開かずにその場で調べられる道具を目指したという。
PicoをUSBでつなぐと、パソコンはPicoを仮想のネットワーク機器として認識する。ブラウザーで「http://pico.lab」を開くと計測画面が表示され、パソコン側に専用のソフトもドライバーも要らない。約200KBの画面はPico本体が配信する。利用者はデスクトップのように窓を並べ、複数の機能を同時に使える。
機能は、4チャンネルのオシロスコープ(帯域は約400kHz)、最大100MS/sで記録し、UART・I2C・SPIの通信内容を読み解く8チャンネルのロジックアナライザー、データロガー、GPIOの操作、I2CとSPIの機器を読み書きする機能だ。
Kern氏は、Picoの2つのCPUコアに役割を分けた。片方が通信と画面の配信を受け持ち、もう片方は計測データの取り込みに専念する。同氏は、ブラウザーの特定の機能に頼らずUSB上のネットワークで画面を届けるため、どのOSのブラウザーでも開けるとしている。
ただし同氏はREADMEで、1ドル(約160円)のマイコンをUSB 1.1でつないで動かしているため、専用の計測器ほどの性能は期待しないでほしいと書いている。
ファームウェアは市販のPico(RP2040)とPico 2(RP2350)でそのまま動き、書き込み用のファイルをコピーするだけで試せる。同氏が設計した専用基板は、1.65〜5.5Vのロジック電圧、1〜5Vの可変電源、12Vまで入力できるアナログ4チャンネル、電流の測定、保護回路を加える。
基板のKiCadデータ、ケースの3Dモデル、ソースコードはGitHubでGPL-3.0ライセンスのもと公開されている。READMEによると、ファームウェアとWeb画面は生成AIを多用して作り、設計と構成はKern氏自身が考えた。同氏は今後、設定の保存やJTAGへの対応を加える予定だという。

