
米マサチューセッツ工科大学(MIT)、Google、米ノースイースタン大学などの研究チームは、生成AIが作った3Dモデルのうち、3Dプリントして使うには問題がある部分を、範囲を選んで文章で指示するだけで直せるツール「InstructMesh」を開発した。CADを使ったことがない参加者でも、欠陥の約9割を修復できた。成果は2026年11月2日から米デトロイトで開かれるユーザーインターフェース研究の国際会議「UIST 2026」で発表する。
文章や画像から3Dモデルを作る生成AIは、画像を手本に学習しているため、見た目は自然でも形の正確さに欠けやすい。研究チームは、3Dデータ共有サイト「Thingiverse」で人気の3Dモデル120個の画像から、生成AI「TRELLIS」でモデルを作り直して調べた。不要な突起やかけらは65.8%、必要な穴や開口部がふさがる問題は48.6%、中身の詰まった部分が空洞になる(またはその逆の)誤りは36.9%のモデルに見つかった。78.3%のモデルは2種類以上の問題を抱え、1個あたりの問題は平均2.4件だった。
InstructMeshでは、画面上で問題のある部分を塗って選び、「ふたを開けて」のように文章で指示するか、スライダーで操作を選ぶ。文章の指示はGPT-4が読み取り、「押し出す」「厚くする」「埋める」「削る」「薄くする」「平らにする」の6種類の操作のどれかに割り当てる。ツールは完成した3Dモデルを直接は書き換えない。TRELLISが途中で作る粗い立体の格子を編集してから、AIにモデルを作り直させ、細かい形や表面の模様はAIが補う。変更する部分は確定する前に、追加は緑、削除は赤で表示される。1回の修正にかかる時間は平均43.7秒だった。
3DモデリングやCADの経験がない12人が5個のモデルを直した試験では、参加者は欠陥の90.4%を自分で見つけ、専門家の判定で89.7%を修復できた。別の12人に使い比べてもらうと、文章で指示する方法とスライダーの好みは6人ずつに分かれ、12人全員が両方を組み合わせた方式を望んだ。
作例として、竜の形の取っ手が付いたマグカップのふさがった口を開け、ジーンズ風のデザインの膝サポーターにベルトを通す穴を加えた。貝殻形の笛には音を出すための空洞を作り、実際に音が鳴った。いずれもStratasysのフルカラー3Dプリンター「J55」で造形している。ちょうつがいのように動く部分を持つ機構は、まだ扱えないとしている。

