ゲームボーイアドバンスでパスワード解析、毎秒727回で現代機の3000万分の1

パスワードの解析には、高速なGPUを何枚も積んだ専用マシンが使われる。1秒間に数十億回もハッシュ計算を回し、総当たりで正解を探す世界だ。その対極にある機械で、あえて同じことをやってみた人がいる。

セキュリティーエンジニアのsolst/ICE氏が、2000年代の携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス(GBA)」で動くパスワード解析ツール「GBA-HASHCAT」を公開した。GBAの心臓部は16.78MHzで動くARM7TDMIというチップだ。スマホやPCのプロセッサーが数GHz、つまり数千MHzで動くことを考えると、桁違いに非力な石でパスワードを割ろうという試みになる。

仕組みは総当たりそのものだ。約100万語を集めた8MBの単語リストを1行ずつ読み込み、それぞれのSHA256ハッシュ(入力から一方向で作る固定長の符号で、パスワード照合によく使われる)を計算し、あらかじめ埋め込んだ標的のハッシュと一致するかを比べていく。開発にはGBA向けのゲーム開発エンジン「Butano」を流用した。パスワード解析ツールを、ゲームを作るための道具立ての上に載せた格好だ。

肝心の性能を、solst/ICE氏は自ら数字で突き放している。処理速度は1秒あたり727ハッシュにとどまり、現代のGPU解析機と比べて約3000万倍遅い計算になる。GBAで350日ぶっ通しで回してようやく終わる解析が、いまのGPUマシンなら約1秒で片づくと本人は説明する。リポジトリの説明文にも「非常に遅く、役に立たない」とはっきり書いている。

実用性がないと承知のうえで作られたプロジェクトだが、ハッシュ計算という現代の暗号処理を、20年以上前の携帯機に載る規模のチップでも一応こなせることを示している。GBA開発に触れてみたい人にとっては、Butanoで非ゲーム的な処理を動かす一例として参考になる作りだろう。ソースコードはGitHubで公開されている。

関連情報

fabsceneの更新情報はXで配信中です

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!

最新記事

YouTube / PodCast

【PR】読んで役立つ注目記事

目次