KAISTが光でせり上がる金属を開発、1回のレーザー加工でコーティング不要に

KAIST(韓国科学技術院)機械工学科のIl-Kwon Oh教授らの研究チームが、光を当てると平らな金属板が立体的にせり上がる構造体を開発した。形状記憶合金の表面に光を吸収させるための特別なコーティングを使わず、1回のレーザー加工だけで作れるのが特徴だ。押すとせり上がる物理ボタンや、触感のあるインターフェース、ソフトロボットへの応用が見込まれる。

形状記憶合金は、変形させても特定の温度まで加熱すると元の形に戻る金属だ。軽くて大きな力を出せるため、ソフトロボットや身に着けて使うアクチュエーター(動きを生む駆動部品)の材料として広く使われる。光を当てて熱に変え、離れた場所から非接触で動かす方式も研究されてきた。だが代表的なニッケルチタン合金(NiTi)は近赤外光をうまく吸収しないため、従来はグラフェン酸化物やポリマー複合材、窒化チタンの薄膜といった光吸収層を別に塗る必要があった。これらの層は繰り返し動かすうちに剥がれることがあり、工程が増えるうえ、熱容量が増して反応が遅くなる問題も抱えていた。

研究チームは、コーティングを使わずに合金そのものへ機能を作り込む一体型の製造法を考案した。平らなNiTiの薄板に紫外線レーザーを1回走らせるだけで、切り紙のように微細な切れ込みを入れて変形のしかたを決めると同時に、レーザーが当たった部分の光の吸収しやすさも書き込む。この2つを1つの金属板の中に同時に埋め込むことで、外から光を当てると設計どおりにせり上がる構造体ができる。チームはこれを「光熱駆動メタモーフィング構造」と呼ぶ。

Il-Kwon Oh教授は、今回のレーザー加工技術について、別々のコーティング工程を挟まずに機械的な変形と光学的な性質を1つの金属構造へ書き込める、製造しやすい手法だと説明する。そのうえで、環境に合わせて形を変える表面や、操作に触感で応えるインターフェース、光で動く光熱ソフトロボットなど、光で制御する次世代の変形インターフェースへ幅広く応用できるとの見通しを示している。

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