
中国のハルビン工業大学と中国科学院金属研究所の研究チームは、セメントを主な材料にしたスーパーキャパシター(電気を短時間で出し入れできる蓄電部品)を、3Dプリンターで作る手法を開発した。論文は米国化学会(ACS)の学術誌「ACS Nano」に2026年8月17日付で掲載され、ACSが10月1日に内容を発表した。ACSによると、圧縮強度は床や階段に使う市販のコンクリートと同程度だという。
ACSは、スーパーキャパシターについて、ためられる電気の量は比較的少ないものの、短時間で充放電でき、場合によっては数百万回繰り返せると説明している。研究チームは、太陽光パネルなどで建物の近くで発電した電気を、屋上や機械室に置く大きな電池ではなく、建物の構造そのものにためることを目指している。
論文によると、セメント製のキャパシターには、電極と電極の間を仕切る層の境目が弱いことと、イオンが板の厚み方向に長い距離を移動しなければならないことが課題として残っていた。チームはカーボンナノチューブ、カーボンブラック、セメントを混ぜて印刷用の電極インクを作り、3Dプリンターでセメントの板の上に、両手の指を組み合わせたようなくし歯状に積み上げた。セメントが固まる過程で内部の細かい穴に水とイオンが満ち、イオンは隣り合う電極の間を横に移動するだけで済む。電極はセメントモルタルの仕切り層の中に一体で埋め込まれ、境目がはがれにくい構造になった。

条件を最適化した試作品は、1cm²あたりの静電容量が162.14mF、エネルギー密度が22.52μWh、出力密度が0.49mWだった(動作電圧1.0V)。圧縮強度は23.00MPaを保った。同じ板に印刷した3個をつなぎ、小型のLEDを並べて点灯させた。一方、適度な加熱と冷却では安定して動いたが、−18℃では性能が大きく落ちた。論文は、電解液の凍結と水分の管理が今後の課題だとしている。
ACSは、非常用の照明や電源を内蔵したセンサーに使える可能性があるとしている。

