KiCadで基板の電圧降下を色分け、商用ツールの代わりを狙うプラグインを公開

基板の電源配線では、細くくびれた部分やビアの数、熱を逃がすための切り欠きが電圧を下げる。その落ち込みを無償の基板設計ソフトKiCadの上で計算し、3Dの色分けで示すプラグインが「KiPI」として公開された。作ったのはDrew Maatman氏で、商用の解析ツール「HyperLynx PI」の作業手順に慣れており、KiCad向けに無償のオープンソースの代替を作りたかったと説明している。

KiPIはKiCad 9以降の基板エディターから起動する。利用者が電源レギュレーター、負荷の電流、抵抗などの直列部品を指定すると、KiPIは配線のまとまり(ネット)ごとに、すべての銅箔層の電圧降下を計算する。計算した電圧や電流密度、ビアを流れる電流は3Dで表示される。レギュレーターは理想電源、リニア式、スイッチング式の3種類から選べ、複数の相で電流を分け合う電源にも対応する。

設計で特徴的なのは、KiPIが基板から何も推測しない点だ。レギュレーターも負荷も利用者が入力する。その代わり、設定は基板ファイルの隣に設定ファイルとして保存され、プロジェクトと一緒にバージョン管理に入れられる。

KiPIは結果を、合否が分かる形で示す。負荷ごとに許容幅(±%)を決めておくと、KiPIは設定電圧から最も外れた端子で合否を判定する。電流密度の表示では矢印で電流の向きを示し、同氏は電圧を下げている箇所がすぐ分かると説明する。結果は、オフラインで開ける1ファイルのHTMLレポートにまとめられる。

KiCad向けの同種のツールには、2025年3月にリポジトリが作られた「padne」がある。padneは回路図に専用の文字列を書き込んで電源や負荷を指定する方式で、KiPIは基板エディターの画面の入力欄で設定する点が異なる。

現在の版は0.6.5で、同氏はアルファ版としている。同氏はコード全体をAIの「Claude Opus 5.5」で書いたとし、動作や正確さは保証しないと明記する。一方で、同氏とほかの利用者の確認ではHyperLynx PIと同様の結果が出ているという。

ライセンスはGPL-3.0で、4相で12Vを0.9V・40Aに変換する電源の作例も付く。ただし、計算に使うライブラリ「Triangle」は作者の許諾なしに商用製品へ組み込めず、同氏はKiPIを自分の設計作業に使う分には問題ないとしている。商用の解析ツールを持たずに、KiCadで電源配線を検証したい人に向くツールだろう。

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