
カシオの腕時計「G-SHOCK GBX-100」には、潮の満ち引きをグラフで示す機能がある。その表示を公的機関の観測データで正確にするツールが、MITライセンスでGitHubに公開された。作ったのはMatthieu Girard氏で、フランスの港町サン・マロで時計を使っている。
同氏によると、スマートフォンの公式アプリ「CASIO WATCHES」が時計に送るサン・マロのデータでは、満潮と干潮の時刻がずれる。2025年1〜6月の実測と比べると、ずれは平均29分、最大で2時間5分に達した。サン・マロは大潮のときの干満差が12〜13mあり、30分のずれが1m以上の水位の差になることがあるという。
同氏は、原因は時計ではなくデータにあると説明する。潮の満ち引きは、周期の異なる複数の波を重ね合わせて計算する。公式アプリがサン・マロ向けに送るのは、そのうち主な4つの成分だけだった。一方で時計のファームウェアは60の成分から計算でき、アプリも日本や米国などの港ではすでに60成分の形式を使っていた。足りなかったのは、サン・マロ用の正しい60の値だった。
Girard氏は、フランスの水路機関SHOMが記録した2019〜2024年の毎時の潮位から、60成分の値を求めた。時計への書き込み方は、公式アプリの解析と、アプリが別の港のデータを送るときのBluetooth通信の記録から割り出した。同氏が作った送信データは、記録した通信と1バイト単位で一致したという。同氏はファームウェアには手を加えていない。
書き換えた後、2025年1〜6月の実測に対するずれは平均5分、最大24分に縮んだ。2026年10月3日には、時計が干潮を19時1分と表示し、SHOMの公式の潮汐表の19時0分とほぼ一致した。書き込んだデータは独自の港「ST-MALO SHOM」として表示され、2日後にスマートフォンと再接続した後も残っていた。
ツールを動かすには、Python 3.10以上とBluetooth LEを使えるパソコンが要る。利用者は、1年分以上の潮位データか、米海洋大気庁(NOAA)などが公開する成分の値があれば、ほかの港も好きな名前で登録できる。同氏が動作を確かめた時計はGBX-100だけで、公式アプリで港を選び直せば元のデータに戻る。
Girard氏は、高潮など気象の影響は予測に含まれず、航海用の計器ではないと断っている。

