電卓の太陽電池とトリチウムで作る自作「核電池」、ナノワット級の発電を確認

FabScene(ファブシーン)  Pink digital multimeter with probes connected to a circuit on a wooden workbench, surrounded by wires and components (capacitor, clips). Rea­ding visible on display is 0.58.

原子力発電所を裏庭に建てるのは現実的ではないが、放射性同位体を使った小さな電池なら自作できる。YouTubeチャンネル「Double M Innovations」が公開した動画「Poor Man’s nuclear battery, DIY」は、電卓用のアモルファス太陽電池とトリチウム封入ガラス管を組み合わせた、ナノワット級の核電池を実際に作ってみた記録だ。

構成はシンプルだ。電卓などに使われる小型のアモルファスシリコン太陽電池を2枚用意し、その間に直径3mm、長さ11mmのトリチウムバイアルを5本並べて挟み込む。内側には反射材を貼り、外からの光が入らないようアルミテープで全体を密閉する。はんだ付けもなく、部品さえ揃えればすぐに組み立てられる構造になっている。

動作原理は、バイアル内に封入されたトリチウムガスが発するベータ線(低エネルギーの電子)が、ガラス管内壁のリン光コーティングに当たって緑色に発光する性質を利用する。製作者は、この微弱な光を太陽電池で拾って発電させている。

測定結果は、各太陽電池単体で0.45〜0.47V。電流はナノアンペア級で、一般的なデジタルマルチメーターでは検出できないほど小さい。2枚を直列接続しても電圧は期待したほど上がらなかったため、製作者は11μFのキャパシターを接続して充電方式を試している。3分ほどで1Vに達し、その後ゆっくり上昇を続け、一晩放置すると2.7〜2.9Vまで達した。製作者はこれを「ナノワット級原子力発電所」とユーモラスに表現している。

トリチウムの半減期は約12年のため、出力は低くても長期間にわたって安定した発電が続く点が核電池の特徴だ。動画の最後では、ガラス2枚の間にアルゴンガスを封入する複層ガラス窓の構造を引き合いに、ガラス間にトリチウムを入れて両面を太陽電池で挟めば表面積を大幅に増やせるというスケールアップのアイデアも語られている。ライセンス上の課題は残るものの、原理を理解すれば応用の方向を考えやすい構成になっている。

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