
米ペンシルベニア州立大学のTao Zhou助教らの研究チームが、薬抵抗性高血圧の治療を目的とした3Dプリント製の柔軟な生体電子デバイス「CaroFlex(キャロフレックス)」を開発した。実験用マウスで頸動脈に貼り付けたところ、血圧が平均15%以上低下した。論文は2026年5月にDevice誌に掲載された。
高血圧は米国成人のほぼ半数が罹患しており、そのうち約10%が複数の薬を服用しても改善しない「薬抵抗性高血圧」を抱えている。現在も商用の生体電子デバイスが存在するが、金属やプラスチックなど硬い素材で作られているため、常に収縮・拡張を繰り返す動脈の動きとずれが生じやすい。また縫合糸で固定する必要があり、長期的に組織を傷つける問題もある。
CaroFlexはこうした問題を解決するために全体をハイドロゲル(ゼリーのような柔らかい素材)で3Dプリントした。電気信号を伝える電極部分には導電性ハイドロゲルを、組織への接着には接着性ハイドロゲルを使う。縫合糸を一切使わず、指先ほどの小さな装置が動脈表面に自己接着する設計だ。元の長さの2倍以上に伸ばしても破断しない柔軟性を持ち、接着剤は6ヶ月保存後でも性能を維持している。

装置は頸動脈の分岐部にある圧受容器(血圧の変化を感知する神経終末)に穏やかな電気信号を送ることで、体が自然に血圧を調整しようとする反射機構(圧受容器反射)を引き出す。ラットの頸動脈に埋植して5種類の電気周波数を試したところ、4種類で血圧低下を確認した。2週間後も装置が触れた組織に損傷や免疫反応は見られなかった。
研究チームはまず3Dプリント製バイオエレクトロニクスとしての製造効率の高さを強みとして挙げており、将来的な臨床試験と製品化を視野に入れている。

