
あらかじめ物理の法則を教え込んだAIを使い、光学部品の設計にかかる計算の時間を10分の1に短くしたと、スウェーデンのChalmers工科大学の研究チームが発表した。成果は学術誌Laser & Photonics Reviewsに掲載された。
研究チームは、光を波長より小さなスケールで操る「ナノフォトニクス」という分野で、レンズなどに使う人工の光学材料をコンピューターの計算で設計している。AI(ニューラルネットワーク)に設計を学ばせるには、大量の計算データが要る。データ1つを作るのに10分から1時間かかり、必要なシミュレーションは最大で4万回にのぼる。学習用のデータをそろえるだけで1か月かかることもあった。
チームは、学習の前に、電磁気の法則をAIの構造そのものに組み込んだ。Philippe Tassin氏は、物理を教えるとAIは目に見えて賢くなり、計算は以前の10分の1の時間で済むようになったとしている。1か月かかっていたデータ作りが、3日に縮まった。学習を終えたAIは、どんな構造でも光の性質を1ミリ秒ほどで返すという。
この手法は、薄くて軽いカメラやめがねのレンズの設計に役立つ。さらにチームは、量子コンピューター同士を光でつなぐ部品への応用も視野に入れる。Chalmers工科大学では、スウェーデン初の大型量子コンピューターの開発も進んでいる。

