
東京科学大学(旧東京工業大学)発のスタートアップLeacronは2026年5月19日、電子部品のデータシート(PDF)からAIが回路図シンボルとPCBフットプリントを自動生成するツール「Librizer(リブライザー)」でKiCad形式への出力に対応したと発表した。KiCadはオープンソースで無料のPCB設計ソフトウェアで、個人開発者・研究者・スタートアップに広く使われている。
電子回路設計では、利用したい部品の回路図シンボル(回路図に配置するための図記号)とPCBフットプリント(実際の基板上での部品のパッド配置)をあらかじめライブラリとして用意する必要がある。KiCadをはじめ多くのEDAツールには既存の部品ライブラリが同梱されているが、新しい部品や特殊な部品では対応ライブラリが存在しないことも多く、その場合は設計者がデータシートを見ながら手作業でシンボルとフットプリントを作成しなければならない。Leacron自身がハードウェア開発でこのボトルネックを経験したことが開発のきっかけだという。
Librizerはこの工程を自動化する。使い方はシンプルで、PDFのデータシートをアップロードするとAIがピン番号・ピン名称・パッケージ情報・外形寸法を解析し、回路図シンボルとフットプリントを一括生成してKiCadで読み込めるライブラリファイルとして出力する。
寸法情報の精度向上のため、Librizerは「ハイブリッドアプローチ」を採用している。画像認識AIであるVLM(Vision Language Model)単体ではデータシート上の図面から寸法を読み取る際に誤差が生じることがある。そこでVLMの読み取り結果を古典的な図形解析アルゴリズムで検証し、その結果をもとに再度VLMで補正するという3段階の処理でフットプリントの精度を高めている。
Leacronは今後、生成されたシンボルやフットプリントの確認・修正機能を追加する計画を示している。また、同社のデータシート解析技術は電子部品に限らず建築図面・機械設計図・特許図面など幅広い技術図面への応用も視野に入れているとしている。

