
カメラも赤外線センサーも使わず、Wi-Fiの電波だけで、部屋にいる人の動きを検知する。そんな装置を、Maker のskizzophrenic氏が自作した。手のひらに載る小型端末「M5Stack Cardputer Advance」に自作のファームウェアを書き込み、人の在室を検知する専用機に仕立てた。材料費は約50ドル(約8000円)に収まる。
仕組みの土台にあるのが、RSSI(受信信号強度)と呼ばれる値だ。RSSIは、受け取ったWi-Fiの電波がどれくらい強いかを示す。人が部屋を動くと、電波がその体に当たって反射し、RSSIがわずかに変化する。skizzophrenic氏の装置は、このRSSIの変化を捉え続け、動きがあれば画面のレーダー表示に「contact」と示し、動きが止まれば表示を消す。信号が強いほど近く、弱いほど遠いと分かる。ただし、1台だけでは人の正確な方向や位置までは特定できないという。
装置の見せ方にも工夫がある。Cardputer Advanceに2.8インチのTFT液晶を増設して2画面にし、ケースは3Dプリンターで製作した。Cardputer Advanceが積むESP32-S3は、2つのコアを持つマイコンだ。skizzophrenic氏は、片方のコアを下側の画面に、もう片方をセンシングと上側の画面の処理に割り当てた。画面の配色を変える設定や、周囲に合わせた明るさ調整も加えている。
なお、動画では、この自作機とは別に、より高度な既存技術も紹介している。CSI(チャネル状態情報)を使う方式で、電波のごく小さな変化まで読み取り、心拍や呼吸、姿勢の推定まで試みる。ただし、skizzophrenic氏自身の装置が使うのはRSSIで、CSIを用いる高度なセンシングとは仕組みが異なる。
このファームウェアや3Dプリント用のデータは、GitHubで公開されている。skizzophrenic氏は、監視技術の身近さと、そこに伴うプライバシーの問題を、自分の手を動かして示すためにこの装置を作ったと述べている。

