金属3Dプリントは温度を下げると欠陥減、英大学がアルミ合金で確認

英マンチェスター大学の研究チームが、金属3Dプリンターの造形温度をわずかに下げるだけで、アルミ部品の内部にできる欠陥を減らせることを実験で示した。ノズルと基板の温度を低くすると冷え方が速くなり、金属組織が細かくなって気孔も減る。成果はMaterials & Designに掲載され、大学が2026年7月14日に発表した。

研究チームが調べたのは、MMD(molten metal deposition)と呼ばれる造形方式だ。金属3Dプリンターの多くは、粉末や線材にレーザーなどを当ててその場で溶かすため、加熱と冷却が急激に繰り返され、部品に欠陥や残留応力、ひずみが生じやすい。MMDは、あらかじめ溶かしたアルミを吐出して積み上げる。温度が低めで制御しやすく、熱の上下動もおだやかになるため、消費エネルギーを抑えつつ複雑な形を作りやすいと期待されている。MMDを開発したのは、ベルギーのValCUNである。

対象の材料は、製造や工学の現場で広く使われるアルミ合金4043である。研究チームは、ノズルと基板の温度を変えながら試料を造形し、顕微鏡で金属の結晶粒の大きさや向き、内部の微細な気孔の分布を調べた。機械的な性質も測った。

温度が高いと造形中の冷却が遅くなり、結晶粒が大きく育って気孔が増えた。逆に温度を低くすると冷却が速まり、結晶粒は細かくなって欠陥も減った。結晶粒の大きさと気孔の量には強い関係があった。また、層を積み重ねて造形が進むほど、欠陥の量と結晶粒の大きさはおおむね小さくなった。造形中に熱の条件が刻々と変わり、金属の固まり方に影響していることを示す。

欠陥は残るものの、造形した部品の機械的な性質は従来の工法と同等だった。硬さと弾性率は、アルミ合金4043で想定される範囲に収まった。

材料学部のFan Wu氏とWajira Mirihanage氏は、造形条件が部品内部の構造にどう効くかを理解することは、3Dプリンターを厳しい産業用途で広く使うために欠かせないと述べる。両氏は、比較的小さな温度の調整が欠陥のでき方と組織の育ち方を大きく左右すると説明する。MMDはまだ新しく、造形条件が最終的な材料に与える影響はよくわかっていないため、条件と組織、欠陥の関係を結び付けた今回の成果が、造形手順の最適化と部品の信頼性向上の土台になるとしている。

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