米大学が薬品を100分の1に減らす金属回収法を開発、電気で分子を操る

米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームが、金属を取り出す工程を薬品ではなく電気で動かすための分子を開発したと、2026年8月12日に発表した。使う薬品の量は従来の10分の1から100分の1に減る。電子廃棄物を溶かした液から金を選んで回収する実験で確かめた。成果は学術誌『ACS Energy Letters』に掲載された。

電子基板や鉱山の廃液から有用な金属を取り出す方法として、溶媒抽出が広く使われている。水に溶けた金属を、水と混ざらない油のような液へ移し替える手法だ。金属を捕まえる分子を油側に溶かしておき、そこへ水を接触させると、狙った金属だけが油側へ移る。ただし、移す段階と、移した金属を放させる段階の両方で、酸やアルカリを大量に必要とする。

Su教授の研究チームは2024年、この過程の一部を電気に置き換える手法を示していた。電気で分子の状態を切り替え、金属を捕まえたり放したりする。それでも、抽出の一巡を完結させるには追加の薬品が要った。

今回はその一手を消すために、分子そのものを設計し直した。新しい分子は3つの役目を1つの構造に持たせている。狙った金属イオンを選んで結合すること、電気を帯びた状態を常に保つこと、そして抽出に使う有機の液に溶けたままでいることだ。

要になるのは2つ目だ。分子自身が電荷を持つため、液そのものが電気を通す。共著者のDeborah Schmitt氏は、この性質が電解質の役目を果たし、薬品ではなく電気で反応を進められるようになったと説明する。Su教授は、分子に電気を与えると金属を捕まえて有機の側へ運び、再び電気をかけると放す、と述べている。

実験では金を対象にしたが、研究チームが強調するのは、電気で動く抽出分子を設計するための原則を示した点だ。共著者のAderiyike Aguda氏は、使用済みの自動車触媒に含まれる白金族の金属や、鉱山の捨て石に残る元素にも応用できるとし、電気化学の仕組みはそのままに、抽出する分子の化学だけを対象の金属に合わせて変えればよいとしている。

研究は米エネルギー省科学局の支援を受けた。次の段階は工業規模への拡大で、研究チームは新しい分子の設計と、計算による予測や人工知能を使った探索の高速化にも取り組んでいる。

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