
フィンランドのEverypinは2026年8月18日、テスト治具の内部に組み込むプログラマブル電源「PwrBlock 323」の出資募集をCrowd Supplyで始めた。価格は230ドル(約3万7000円)で、募集は10月1日まで続く。出力は1〜32V、最大3Aで、USB経由のSCPIコマンドから電圧と電流制限の設定、出力の入り切り、電圧と電流の測定を操作できる。
基板の量産前検査では、被試験基板に電源を与え、正しい電圧で動くかを自動で確かめる工程が要る。ここに実験用のプログラマブル電源を持ち込むと、治具の横に別途置く必要があり、場所を取って外部配線も増える。自動化された検査ラインでは使わない前面パネルのつまみも付いてくる。かといって安価な組み込み用の電源モジュールは、制御用のソフトウェアの作りや保護機能、資料が心もとない。PwrBlock 323はその間を埋める位置づけになる。
筐体は130×70×20mmで、治具や試験台の内部に固定するための穴を複数持つ。開発中は4mmのバナナジャックで基板をつなぎ、治具に組み込む段階ではピンヘッダー経由で電源と入出力を直結できる。40ピンのコネクターには電源のほかUART、SPI、I2C、デジタル入出力7本が出ており、検査に必要な信号を1つの装置にまとめられる。
制御はPythonやVISA対応ツール、独自の検査ソフトから叩ける。コードを書かずに同じ操作と測定ができるGUIも付属する。入力はUSB-C PDで、100Wのアダプターをつなげば出力は最大約92Wに達する。電圧の設定分解能は1〜24Vで10mV、24V超で20mV、設定精度は±0.1%+30mVとなる。過電流、過電圧、過電力、過熱の4種類の保護を備え、効率は32V・3Aで最大92%としている。主要部品は昇降圧コントローラーにLM51772、マイコンにSTM32G0C1CEU、電圧・電流測定にINA229を使う。
設計は出荷前に公開する計画で、ハードウェアと機構がCERN-OHL-W-2.0、ファームウェアとホスト側ソフトがApache-2.0、ドキュメントがCC BY 4.0となる。回路図、基板レイアウト、部品表、筐体の3Dデータ、STM32のソース、Pythonライブラリ、SCPIコマンドの一覧までが対象だ。生産時の試験計画や自動試験スクリプト、合格基準も同じリポジトリで公開するとしている。
ただし現状は動作する試作の段階で、生産版のハードウェアもファームウェアも筐体も確定していない。同社は試作の試験で見つかった課題として、最高電圧かつ最大負荷での出力リップル、低い電流域での校正、短絡からの復帰の3点を挙げ、生産版で試験をやり直すとしている。基板の製造と実装、筐体の生産は中国のパートナーが担い、最終組み立てと校正、出荷前試験はフィンランドで担う。出資者への発送は2027年3月30日を見込む。円換算は2026年8月27日のレートによる。

