押すと直前60秒をさかのぼって保存、9台のカメラをつなぐ工房の録画ボタン

工房で思わぬ成功や失敗が起きても、録画していなければ映像は残らない。米ニューヨーク近郊で活動するMakerのgearscodeandfire氏は、ボタンを押すと直前の60秒間をさかのぼって保存する仕組み「Shopcam 2000」を作り、自分の工房にある9台のカメラに組み込んだ。

カメラの映像は、監視カメラ用のソフトウェア「Blue Iris」が常に60秒分だけためて、古い分から上書きし続ける。ボタンを押すと、9台すべてが押す60秒前から押した10秒後までを保存し、1つのフォルダーにまとめる。ボタンに手を伸ばす瞬間も映像に残る。9台を常に録画すると1時間で21.7GBになるが、1回の保存は約460MBで済む。

ボタンの中身は、電池で動くSeeed Studioのマイコンボード「XIAO ESP32S3」で、ほとんどの時間は眠っている。押されると、Espressifのマイコン同士が無線LANを介さずに直接通信する方式「ESP-NOW」で信号を送る。

信号の受け手は、あえてマイコン3台に分けた。ESP-NOWと無線LANは同じ無線回路を使うため、受け手が無線LANにつながっていると、ルーターが使う周波数のチャンネルに合わせて動く。ルーターが再起動してチャンネルを変えると、ボタンの信号が届かなくなる。1カ月は動いて、ある日突然止まる。過去を残すための装置にとって最悪の壊れ方だと同氏は書く。そこで受信役のESP32は無線LANに一切つながず、別のESP32が有線のシリアル通信で受け取り、無線LAN経由でパソコンに伝える。追加の費用は約4ドル(約630円)だ。

つまずいたのはソフトウェアの設定だった。Blue Irisの「movieroll」という設定項目は、映像を一時的にためておく時間を決めるもので、初期値の5秒が、さかのぼれる時間の上限になる。60秒前から保存する設定にしても、実際に残ったのは4.1秒分だった。movierollを60秒に変えると、58.7秒分が残るようになった。

制御用のプログラムとファームウェア、設定値は、GitHubでMITライセンスのもと公開している。作るには、Windows専用の有料ソフトBlue Irisと、それを動かすパソコン、ESP32ボード2枚、ボタン1個につきXIAO ESP32S3が1枚要る。

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