スイス連邦工科大が糸のように細いモーターを開発、4本で46gの板チョコを持ち上げ

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のSoft Transducers Laboratoryは、糸のように細く曲げられる直線運動のモーター「FiberMotor」を開発した。成果は2026年9月27日、材料科学の論文誌「Advanced Materials」に掲載された。EPFLは10月7日に発表している。同研究室は2023年に、布に縫い込んで液体を循環させられる繊維の形をしたポンプも発表していた。

モーターは、太さの違う2本の中空の繊維を入れ子にした構造だ。それぞれの繊維には、髪の毛よりわずかに太い、絶縁被覆付きの銅線を電極として密に巻き付けてある。電圧をかけると静電気の力が繰り返し働いて2本の繊維を引き寄せ、内側の繊維が外側の繊維の中を、望遠鏡の筒のように滑って動く。

直径は1~3mmで、1本で約75gの重さを支えられる。4本を束ねると、46gの板チョコレートを持ち上げ、腱で動くロボットの指を曲げることができた。膝の形に合わせた衣服の試作品にも組み込んでいる。

伸び縮みする素材を使う人工筋肉と違い、動ける範囲は繊維の長さだけで決まる。歯車や変速機を持たないため、外から力を加えると繊維どうしが滑って動き、固まらない。研究チームはこの性質を、体に着けて動きを助ける機器に向いた特徴としている。

研究室を率いるHerbert Shea氏は、FiberMotorは繊維の形をした初めての滑り式モーターであり、柔らかいロボットの機器を動かすのに十分な力を出せると述べる。用途としては、歩行を助ける柔らかい装着型の補助具、仮想現実(VR)で触覚を伝える装置、軽い義肢を挙げる。1つの硬いモーターの代わりに、細いモーターを多数、布の中に分けて配置できる点も利点だという。

ただし、性能と耐久性にはまだ改善の余地があるとして、研究チームは絶縁体を中心にした、より薄い電極や材料の最適化を進める。着けている人の姿勢や動きを検知し、意図に合わせて動きを変えられるようにする研究も予定している。論文の筆頭著者のSylvain Schaller氏は、この技術を事業化するスタートアップ「Elecsyor」を設立した。論文はクリエイティブ・コモンズのCC BY 4.0で公開されている。

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