USBのWi-Fi子機を改造せずに電波の受信機にするソフト「BirriaSDR」

USBのWi-Fi子機を、受信した電波をそのままデータとしてパソコンに取り込むSDR(ソフトウェア無線)の受信機に変えるソフト「BirriaSDR」が、2026年10月13日にGitHubで公開された。作ったのは米SETI研究所のLuigi Cruz氏で、電波望遠鏡群「アレン・テレスコープ・アレイ」で信号処理に取り組んでいる。

対象は、MediaTekのWi-Fiチップ「MT7921AU」を積んだUSBドングルだ。同氏によると、Wi-Fiチップの中には受信回路が一式そろっており、チップによっては較正やデバッグのために受信信号をそのまま記録する取り込み回路も載っている。BirriaSDRはこの回路を流用し、チップ内のメモリーにたまった信号をUSBでパソコンへ送る。

同氏は、ドングルの中身を書き換えない作りを選んだ。BirriaSDRはメーカーのファームウェアを読み込まず、チップに最初から入っている起動用のROMを使って、1632バイトの自作プログラムだけを載せる。設定はすべて一時的で、BirriaSDRはフラッシュメモリーに何も書き込まない。そのため、電源を抜けばドングルは元の状態に戻る。

受信できる周波数は2156〜2610MHzで、Wi-Fiの2.4GHz帯を含む。BirriaSDRは幅40MHzの範囲を一度に、毎秒4000万回の速さで取り込む。アプリケーションから呼び出す関数は、テレビ用のチューナーを流用した定番のSDR「RTL-SDR」のライブラリーに似せてある。

試験に使ったのはCOMFASTのドングルで、同氏はラズパイ5とMacで動作を確かめた。BirriaSDRに送信の機能はなく、受信専用だ。感度や周波数の精度は未較正で、同氏は実験段階のソフトだと断っている。

FabSceneが10月16日に紹介した、Wi-Fi 7ルーターを電波の観測に使う「W1700K SDR」を、同氏は関連する研究として挙げている。同じMT7921AUを使う「Mtk79ICAP」も10月15日に公開された。Mtk79ICAPはドライバーとファームウェアを改変して、5GHz帯も扱う。

BirriaSDRのコードはMITライセンスで公開されている。BirriaSDRは、受信した電波のスペクトルをすぐに表示できる、信号処理ソフト「CyberEther」用の簡易版も同梱する。同氏はこれを「非常に粗い試作」と位置付けている。

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