
家庭用の電子レンジと通販で買える材料で、シリコンウエハーから太陽電池を作った。半導体の製作を自宅で試すYouTubeチャンネル「Dr.Semiconductor」が、2026年10月17日に動画で公開した。作者は、半導体工場の機能を低価格の機材で庭の物置ほどの広さに縮め、その過程を公開する活動をしている。今回は、設備のない人が最初に作れるものを示すのが狙いだ。
太陽電池は、性質の異なる2種類のシリコンを接した構造で光を電気に変える。作者はAmazonで買ったp型のウエハーを小さく割り、リンを含んだ液状のガラスを塗った。これを高温で加熱すると、リンがシリコンにしみ込み、表面にn型の層ができる。工場では石英管の炉を使う工程を、作者はマイクロ波を熱に変える小型の窯と、ウォルマートで買った900Wの電子レンジで置き換えた。液を薄く広げる工程には、パソコン用の冷却ファンを使った。
温度の調整には手間取った。作者は窯の熱の損失が大きく、900℃に届くかどうかと考えていたが、最大出力で30分加熱すると、窯が真っ赤になってシリコンが溶けた。シリコンが溶けるのは1400℃を超える温度だ。炭素製のるつぼに入れても溶けたため、作者は窯そのものが高温になっていると判断した。出力を30%に下げると溶けなくなり、出力レベル4では表面に厚さ100nmの酸化膜ができた。作者はこれを、約1000℃に達した目安とした。
加熱後は、表面を覆ったガラスの層を2000番の紙やすりで削った。1960年代の教育用の太陽電池キットにあった方法で、フッ化水素酸を含む錆取り剤を使わずに済む。裏面には、ガリウムとインジウムを溶かして混ぜた常温で液体の金属、表面にはインジウムを押し付けて電極にした。裏面の金属を受ける台は3Dプリンターで作った。
作者は、太陽光で充電する回路とリチウムイオン電池、USB出力の回路を3Dプリント製のケースに収めた。日なたに置くと電池の電圧が上がり、スマートフォンも充電できた。ただし、作者によると変換効率は最大で約5%で、今の大きさでは電池を満充電するのに約3カ月かかる。市販の太陽電池は20%を超える。作者は、反射を抑える膜や電極の改良など、改善の余地は大きいとしている。製作の手順と材料の一覧は作者のサイトで公開しており、窯に使った電子レンジを食品用に戻さないことなど、安全上の注意も記している。

