
手のひらに載る小さなタブレット型の端末で、1990年代のMacを動かす。amcchord氏は、オープンソースのMacエミュレーターを、Espressifの新しいマイコン「ESP32-P4」に移植し、そのコードをGitHubで公開した。エミュレーターは、別のコンピューターの動きをソフトウェアで再現する仕組みだ。
移植のもとにしたのは、「BasiliskII」という、以前から公開されている68k Mac向けのエミュレーターだ。これをESP32-P4に載せることで、かつてのMacの頭脳だったMotorola 68040というプロセッサーの動きを再現する。動作の速さは、1990年代のMacintosh Quadra 610に近いという。M5StackのTab5と、WaveshareのESP32-P4搭載機の、2種類のタッチ画面付き端末に対応する。
鍵になったのは、ESP32-P4が2つの処理の核(コア)を持つことだ。amcchord氏は、片方のコアにプロセッサーの再現を、もう片方に画面表示と入出力を割り当て、両者を並行して動かした。画面の表示にも工夫を凝らす。画面を格子状の区画に分け、書き換えがあった区画だけを描き直す方式を採り、無駄な処理を減らした。これにより、毎秒24コマの滑らかな表示を保つ。
作業用のメモリには、ESP32-P4が積む32メガバイトのメモリの一部を、当時のMacのメモリとして割り当てる。利用者は、4メガバイトから16メガバイトまでの範囲で選べる。画面はタッチでマウスのように操作でき、USBのキーボードやマウスもつなげる。内蔵の無線機能を使い、当時のMac向けのソフトでインターネットにつなぐこともできる。
このプロジェクトのコードは、GPLというライセンスで公開されている。ただし、動かすにはかつてのMacの基本ソフトなどを別に用意する必要がある。安価なマイコンの上で古い時代のパソコンを動かす試みに関心のある人には、参考になる作りだろう。

