ブラジルの大学が分析装置に後付けする電流計を公開、4台の装置で稼働中

分析装置の中を流れるごくわずかな電流を、マイコンで記録する。「NAME(Nanoampere Meter for Electrophoresis)」として公開された。作ったのはブラジル・サンパウロ大学化学研究所のClaudimir Lucio do Lago氏とIvan Verlangieri氏で、電流を測る機能を持たない毛細管電気泳動の装置に、後から付けるために設計した。

毛細管電気泳動は、細い管に高い電圧をかけ、試料に含まれる成分を動く速さの違いで分ける分析法だ。NAMEは、装置の低電圧側の電極につなぎ、流れる電流を電圧に変えて読み取る。抵抗2本で作った中点に電流が流れ込むと、その分だけ電圧がずれる。1mVのずれが200nA(ナノアンペア)に当たる計算だ。電圧を数値にする部品にはA/D変換器「ADS1220」を使い、利用者は基板上の半固定抵抗でゼロ点を合わせる。

同氏らは、すでに4台の装置にNAMEを組み込んで使っている。そのうちの1台は、ほぼ3Dプリント部品で作るオープンソースの装置「minimalistiCE」で、NAMEに付属するArduinoの作例は、このファームウェアから読み取りの部分を抜き出したものだ。同氏らは、ESP32-S3を使う別の装置ではNAMEを3.3Vで動かし、既知の電流を流して求めた補正係数を掛けている。

同氏らは基板の配線を片面だけで済ませ、マイコンの空いているピンにつなげるよう、通信をソフトウェアで処理するライブラリも同梱した。記録した電流は、同じ作者の解析ソフト「Zones」で使う。Zonesは電流を積み上げて流れた電荷の量を求め、時間ではなく電荷の量を横軸にした分析ができる。

同氏らは、測定範囲や分解能、雑音などの数値を、測定と検証の手順をまとめてから載せるとして、まだ公表していない。抵抗には誤差1%の品を使うため、高い精度が要る場合は校正するよう求めている。高電圧を扱う装置なので、絶縁や接地の安全確認は利用者の責任だとも断っている。

公開したのは、KiCad 10の設計データ、ガーバー、部品表、Arduinoの作例で、10月14日にv1.0.0とした。ライセンスはファームウェアなどがGPL-3.0-or-later、ハードウェアがCERN-OHL-S-2.0だ。毛細管電気泳動の装置を自作や改造で使う研究者には、電流の記録を足す手段になるだろう。

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