
Sixfabは、Raspberry Pi 5向けの画像AIアクセラレーターHAT「AI HAT+」を発売した。ラズパイの下に重ねて挿す拡張ボードで、AI処理専用チップ(NPU)を載せ、クラウドや外付けGPUに頼らず画像AIをラズパイ単体で動かせる。価格は63ドル(約1万円)からとなる。
載せるNPUは韓国DEEPXの製品だ。物体検出や、画像を領域ごとに分ける処理、分類といった画像AIを、手元のラズパイ上で実時間でこなす。映像をクラウドへ送らずに済むため、通信が不安定な場所やプライバシーが気になる用途に向く。
製品は2種類ある。13 TOPSのNPU(メモリ512MB)を載せた63ドル(約1万円)の型と、25 TOPSのNPU(メモリ1GB)を載せた90ドル(約1万4000円)の型だ。基板や形は同じで、載せるNPUだけが違う。TOPSはAI処理速度の目安(1秒あたりの演算回数)で、数字が大きいほど複数のカメラやモデルを同時に扱いやすい。
導入は手軽だ。Raspberry Pi 5のPCIeに16ピンのFFCケーブルでつなぎ、40ピンのGPIOから給電する。Raspberry Pi OSにAPTパッケージを1つ入れれば自動で認識され、15分ほどで動かせる。NPUの消費電力は約3Wで、ラズパイと合わせても13〜15W。冷却は受動式で、基板は56.5×65mm、HAT+規格に準拠して重ねやすい。
モデルは、ONNX形式のものを専用ツールで変換して動かす仕組みで、PyTorchやTensorFlowで学習したモデルも持ち込める。変換済みモデルをそろえた「Sixfab Model Zoo」も用意され、すぐ試せる。物体検出のYOLOv8nを640×640で動かすと、8GBメモリのRaspberry Pi 5で毎秒30〜35コマを処理する。現時点では大規模言語モデル(LLM)に対応せず、画像AI向けと位置づけられている。
Sixfabは公式のRaspberry Pi Design Partnerで、NPUはM.2モジュールではなく基板に直付けしている。Raspberry Pi公式のAI Kit(Hailo製、13 TOPS)と並ぶ選択肢で、25 TOPS版なら処理性能で上回る。さらにSixfabは、同じDEEPXのNPUを、この試作向けHAT、LTEや5Gを足したエッジ向けボード、産業用エッジ機「ALPON X5 AI」の3つの形で展開する。試作から現場への実装までを同じNPUで地続きにできる点が、個人と産業のものづくりの距離が縮む今を映す。なお、CEやFCCなどの認証は取得手続き中としている。

