
米SpaceXは2026年7月21日、米カリフォルニア州の衛星サービス会社SpaceLogistics(Northrop Grumman子会社)が開発した衛星保守ロボット機「Mission Robotic Vehicle(MRV)」と、推進剤モジュール「Mission Extension Pod(MEP)」3基を、ロケット「Falcon 9」でフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げた。従来機が1基の衛星に取り付けたまま数年間運用されてきたのに対し、MRVは複数の衛星を渡り歩いて保守作業を行える設計になっている。
MRVは、米国防高等研究計画局(DARPA)が主導した「Robotic Servicing of Geosynchronous Satellites」プログラムのもとで、米海軍研究所(NRL)が開発した2本のロボットアーム(長さ約3メートル)を搭載する。Northrop Grummanは、燃料補給だけでなく、軌道上の衛星の移動・点検・修理・機器のアップグレードまで担える「米国初の民間所有・複数ミッション対応ロボット衛星」と位置づけている。MRV自体にも独自開発の燃料補給インターフェース「Passive Refueling Module」を備え、米宇宙軍が承認した補給規格の第1号として、MRV自身も軌道上で燃料補給を受けられる。
打ち上げ後、MRVと3基のMEPはそれぞれ自身のキセノン推進系を使い、高度約3万6000kmの静止軌道へ約1年かけて移動する。MEPは洗濯機ほどの大きさの推進剤モジュールで、燃料が残り少なくなった衛星に後からMRVのロボットアームで取り付けることで、燃料を移し替えることなく運用を継続させる。Northrop Grummanは、一般的な静止通信衛星の場合、MEP1基の装着で約6年の延命効果が見込めるとしている。今回搭載した3基のMEPは、豪州の衛星通信事業者Optusを含む複数の商業衛星事業者が購入したものだ。
同社はこれまでにも「Mission Extension Vehicle(MEV)」2機を運用し、2020年から2025年にかけてIntelsatとOptusの衛星に計3回ドッキングして延命に成功している。MEVは1基の衛星に恒久的に取り付いたままになるのに対し、MRVは着脱式のMEPを介して複数の顧客衛星を順番に保守できる点が異なる。
なお、MRVと3基のMEPを静止トランスファー軌道まで送り出すにはFalcon 9の性能をフルに使う必要があったため、SpaceXは1段目ブースターの回収を行わず、通算32回目の飛行でこのブースターを退役させた。

