工場ロボットAtlasが冷蔵庫を運ぶ動画、カメラでなく「体の感覚」で重さを把握

Boston Dynamicsが、産業用ヒューマノイドロボット「Atlas」が重い物体を持ち上げて運ぶ様子を収めた技術解説ブログを公開した。Atlasが上半身を180度回転させて冷蔵庫の前にしゃがみ込み、中の荷物が動いて重心が変わるのに対応しながら床を横断する映像が示された。今年1月のCES 2026での製品発表からわずか数週間で開発された行動だという。

この動作で注目すべきは「何で重さを感じているか」だ。Boston Dynamicsは「冷蔵庫を持ち上げるには目と手だけでは足りない。重さを予測し、体を傾けて、体全体で仕事をさせなければならない」と記している。Atlasが主に使っているのはカメラではなく「固有受容感覚(プロプリオセプション)」と呼ばれる感覚で、これは人間でいう「目を閉じても自分の腕の位置が分かる」感覚に相当する。関節にかかるトルク(ひねる力)や加速度センサーを通じて、物体の重さ・重心・ずれをリアルタイムで感知しながら姿勢を調整する。

この感覚学習をシミュレーションで素早く学習できた背景には、Atlasのハードウェア設計の工夫がある。全身の関節を2種類のアクチュエーターだけで統一し、左右の腕と脚が対称構造になっているため、シミュレーションと実機の挙動が一致しやすい。さらに関節をまたぐケーブルを廃止し、各関節が360度連続回転できる構造にしたことで、人間には不可能な姿勢でも制御しやすくなっている。

実験では22〜32kg(50〜70ポンド)の荷物でトレーニングを積んだが、45kg超(100ポンド超)の冷蔵庫の移動にも成功した。訓練範囲を超える重さへの対応が、感覚ベースの学習によって自然に達成されたことになる。

Boston Dynamicsはバック転や側転といったアクロバット演技も、この感覚制御の延長線上にあると説明する。「見せるための動き」ではなく、身体感覚の制御精度を高める訓練として位置付けており、それが工場での重労働につながるという考え方だ。Atlasは2026年中にHyundaiの自動車工場とGoogle DeepMindの研究施設への導入が予定されており、2026年分の生産台数はすでに完売している。

関連情報

Two‑legged humanoid robot with white and black segments stands on a wooden block in a spacious lab with cables and equipment around.

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