
机の上でジャンパー線がのたくったCO2センサーは、測定値こそ正確でも、リビングに置かせてもらえなかった。制作したMurkoM23氏は、機械設計を長年手がけた父親と、多面体の外殻を設計した弟の力を借り、植木鉢の姿をしたCO2モニター「murCO」に作り替えた。ファームウェアと電子回路側の資料は、MITライセンスでGitHubに公開されている。
中身はM5StackのAtomS3 LiteとSensirionのSCD40だ。CO2の測定には赤外線の吸収を使う方式を採り、温度と湿度も同時に測る。2つはGroveのケーブル1本でつながるため、はんだごてが要らない。ボタンとRGB LEDはAtomS3 Liteに最初から付いており、追加の配線もない。しゃべる機能を足すときだけ、I2Sのアンプと小型スピーカーを5本の線でつなぐ。部品代は35〜40ユーロ(約6400〜7300円)程度に収まる。
CO2の濃度はLEDの色で分かる。赤なら窓を開ける、という判断に子どもでも迷わない。しきい値はASHRAEとREHVAの基準に沿った3段階と、より細かい4段階を切り替えられる。スピーカーはHome Assistantから再生機器として見えるため、CO2の警告だけでなく、玄関チャイムや洗濯の終了も声で知らせられる。画面がない代わりに、ボタンを4回押すとIPアドレスの末尾を色の点滅で伝える仕掛けも入れた。

公開された資料には、詰まった箇所も書かれている。SCD40をケースに収めると自らの発熱で周囲より3〜6℃高い値を返すため、初期値として6.0℃の補正を持たせ、温度計と比べながら0.5℃刻みで詰める。補正値は再起動しないと効かない。CO2の校正を屋内で試すと、基準が約420ppmにずれて以降の測定値が全部狂うため、屋外で10分以上置いてから校正する。LEDの制御は、CO2の色、水やりの合図、温度の点滅、警告の繰り返しが重なると互いを呼び出し続けるため、新しい指示が来たら途中で打ち切る形にした。ファームウェアは58回のコンパイルを経ている。
GitHubで手に入るのは、ESPHomeの設定ファイル、書き込み済みのバイナリ、部品表、配線図、Home Assistantの自動化例だ。3Dプリント用の外殻データと10章立ての組み立て手引きは、23ユーロ(約4200円)の有償キットに含まれる。手引きは、10歳と13歳の息子2人と近所の家族が実際に組み立て、つまずいた箇所を書き直して作ったという。

