
Raspberry Piは2026年8月24日、携帯型の自作コンピューター「サイバーデッキ」の製作ガイドを公式サイトで公開した。使う部品を型番まで挙げ、電源容量の計算式から組み立ての手順、失敗しやすい箇所までを一通りまとめている。同社の公式誌「Raspberry Pi Official Magazine」第168号のサイバーデッキ特集に載った記事で、誌面はWebで無料公開されている。
サイバーデッキは、市販のタブレットやノートパソコンでは満たせない用途のために自分で組む携帯機を指す。身に着けて使うもの、ポケットに入るもの、ロケットや高高度気球を飛ばすときの管制装置、必要な知識をため込んでおく端末もある。ガイドの筆者であるBrian Corteil氏は、そのどれもがサイバーデッキであり、ただ作りたいから作るのでもかまわないと書いている。
構成は頭脳、周辺機器、電源、ケースの4つに分けて説明している。頭脳を選ぶ観点は消費電力と処理能力とサイズで、シングルボードコンピューターが向く。ストレージはSDカード、USBメモリー、USB接続のSSD、Raspberry Pi 5ならM.2 HATを介したNVMeを挙げた。
電源の項では計算方法を示す。Raspberry Pi 5はUSBポートを全負荷で使う最悪の場合に25W、7インチのTouch Display 2は最大輝度でおよそ3Wを使う。合わせて28W以上が要り、5Vなら約5.6Aになる。電流は電力を電圧で割って求める。リポバッテリーを使う場合は電池のできるだけ近くにヒューズを入れ、使用中はセルごとの電圧を見ておくよう促している。電池で動かす必要はなく、モバイルバッテリーを使えば配置は簡単で安全だとも書いた。
ケースはサイバーデッキの性格を決める部分だ。過去の作例では、キーボードごと使った昔のポケットコンピューター、ブリーフケース、ミントの缶、木箱、映画の小道具の複製などが使われてきた。出発点としてはペリカン型の防水ハードケースを勧める。今回の作例では、内寸が約292mm(11.5インチ)のCASOMAN製を使った。

ケース内部の支持材は3Dプリンターかレーザーカッターで作る。10mm角のアルミフレームを組み合わせると、出力した板と合わせて丈夫な骨組みになる。設備がなければ発泡プラスチック板やプラ板、合板、段ボールでも組める。ガイドでもまず段ボールで部品の収まりと配線の余地を確かめてから、SOLIDWORKSのMaker版で図面を起こしている。Fusion 360やFreeCADでもよい。
作例に使った主な部品は、Raspberry Pi 5、128GBのRaspberry Pi Flash Drive、7インチのTouch Display 2、Rii製のBluetoothキーボード「RK302」、3Wのステレオアンプを載せたPimoroniのUSB-Cサウンドカードだ。サウンドカードを使うと40ピンのGPIOヘッダーを空けたまま音を鳴らせる。別売のRTCバッテリーを付ければ、電源を切っても時刻を保てる。

仕上げの部分では、スイッチやLED、ソフトウェア無線の受信機、センサーをつなぐI2Cポートなどを足す案を挙げた。Raspberry Pi Picoを2つ目のプロセッサーとして積み、小さな副画面やLEDの制御、電池残量の監視を任せる使い方も示している。

