ESP32のボード1枚をアマチュア無線機に、受信だけでなく声も送信

ESP32のWi-Fi回路で電波を受信する「ESP-SDR」を、FabSceneは10月1日に紹介した。ただし受信専用で、送信の機能はなかった。Jochen Hammes氏がGitHubで公開した「esp32-sdr-trx」は、ESP32-S3の開発ボード1枚で受信と送信の両方をこなす。送信はアマチュア無線の13cm帯(2320〜2450MHz)に限り、FMとSSB(単側波帯)の音声、文字を送るRTTYを出せる。

READMEには、ESP32-S3が出したSSBの声を別の受信機でとらえた画面が載っている。ESP32-S3のWi-Fi回路には、Espressifが公開していない試験用の信号発生器がある。同氏はこの信号の周波数と振幅をソフトウェアで刻々と動かし、声を電波に乗せた。チップには、メモリーに置いた波形をそのまま送り出す回路もあり、受信部分の元になった「eSpDR」の作者、h0m3us3r氏が見つけている。ただし今回の送信機はこの回路を使わず、試験用の信号だけで声と文字を送る。波形をためておく必要がないため、時間の制限なく送り続けられるという。

課題は熱だった。送信を続けるとチップが温まり、周波数の基準になる水晶がずれていく。1枚目のボードでは、2.35GHzの電波が120秒で1800〜2050Hz高い方へずれた。同氏はチップに内蔵された温度センサーの値から水晶のずれを予測し、送る周波数を逆向きに補正する仕組みを作った。補正後、1枚目のずれは45秒と120秒の送信で27〜66Hzに収まった。水晶には個体差があり、補正用のデータはボードごとに約40分かけて測って作る。

ファームウェアは2320〜2450MHzの外では電波を出さず、パソコンからのデータが0.5秒途切れると自ら送信を止める。出力は較正しておらず、開発ボードのアンテナで数マイクロワット程度という見積もりだ。高調波などの不要な電波は測っていない。

必要なのは、USBポートを2つ持つESP32-S3ボードとLinuxのパソコンだ。ライセンスはZero-Clause BSDを採用した。試したボードは1枚(温度補正は2枚)で、送信機能は実験段階だという。送信にはアマチュア無線の免許が必要だと同氏は注意している。

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