
テキストエディターのVimを、ESP32のファームウェアそのものとして動かす「esp-vim」が公開された。LinuxなどのOSは使わず、電源を入れるとチップがそのままVimを起動する。作ったのはJames McDuffie氏で、2026年9月23日に開発を始めた。
Vimは、パソコンやサーバーのOSの上で動くのが普通のエディターだ。esp-vimでは、Vimそのものがシステム全体になる。終了するコマンド「:q」を打つと、Vimがその場で再起動する。画面とキーボードを備えたボードでは、文章を書いたりスクリプトを組んだりする小型のコンピューターになり、画面のないボードではパソコンのシリアル端末から操作する。
動かしているのはVim 9.2そのもので、ウィンドウの分割やマクロ、30種類のファイル形式の色分け表示が使える。同氏はこのほか、ネットワーク越しのファイル転送、ブラウザーからファイルや設定を扱う画面、MicroPythonのスクリプトを動かす機能、Gitによるバージョン管理を加えた。Wi-FiやBluetooth、センサーなどの機器は、「:Esp」で始まるVimのコマンドから直接扱える。
必要なのは、ESP32-P4かESP32-S3を積み、16MBのフラッシュメモリーと8MB以上のPSRAM(外付けの作業用メモリー)を持つボードだ。チップ内蔵のメモリーは数百KBしかなくVimには足りないため、同氏は作業用のメモリーをPSRAMに置いた。一般的なファイルの編集に使うメモリーは約0.5MBだという。
同氏は対象のボードとして、M5Stackのタブレット型端末「Tab5」や、Freenove製の5型画面付きボード、Waveshare製の反射型モノクロ液晶ボードなどを挙げている。開発はまだ途中で、READMEではこれまでの動作確認はEspressifのエミュレーター上でシリアル端末を使ったものだとしている。一方で開発計画のページには、Freenove製ボードの実機でGitの操作やBluetoothキーボードでの入力を試した記録がある。同氏はTab5向けのコードを書き上げたが、実機ではまだ動かしていない。
同氏はソースコードをGitHubで公開している。独自に書いた部分のライセンスはApache License 2.0で、Vim本体など外部の部品はそれぞれのライセンスに従う。

