
編み物では、いま何段目まで編んだかを数え続ける必要がある。妻がその段数をノートに書いて数えていたことから、開発者のNikolay Tyulkin氏は、スマホアプリではなく手首に着けて使う専用の機器を作ることにした。ESP32を使った段数カウンター「KAST」で、画面のメニューをたどらせず、触ってすぐ使える道具をめざした。
土台は、Waveshareの1.69インチ液晶付きボードESP32-S3-LCD-1.69で、ファームウェアはESP-IDF、画面表示はLVGLで組む。数を増減する物理ボタンと、開始や一時停止、再開、終了をまとめた1つのボタンを備え、画面には電池の残量を出す。ケースは3Dプリントし、シリコンのストラップは3Dプリントした型に材料を流し込んで作った。設定画面もメニューもなく、電源を入れて数え始めるだけ、という単純な使い勝手を狙った。
最初の版を公開して寄せられた意見をもとに、氏は改良版のKAST v1.1をまとめた。最も大きな変更は、自作のシリコンバンドをやめ、市販の22mm幅の時計ストラップに対応させた点だ。シリコンや革、ナイロン、金属メッシュなどに付け替えられ、時計のように見た目を選べる。あわせて、画面の明るさ調整や一定時間で消えるスリープで電池を長持ちさせ、ESP32のアクセスポイントとキャプティブポータルを使ったWi-Fiの設定画面を加え、ケースも作り直した。
数え方には、腕の動きから自動で数える案もあった。ただし編み手はしばしば手を止めるため誤検知が増えるとして、氏は取りこぼしの少ない物理ボタンを選んだ。ファームウェアやCADデータ、部品表はGitHubで、3DモデルはThingiverseで公開している。最初の版を見たボードメーカーのWaveshareが、自社ボードの製作事例に加えたという。

