
電子工作向けの少量生産ハードウェアを扱うマーケットプレイス「Lectronz」で、Icy Electronicsが開発ボード「nRF54L15 Discovery」を販売している。Nordic Semiconductorの無線マイコン「nRF54L15」を載せた開発ボードは各社から出ているが、この製品は基板を2枚に割って別々のボードとして使える構造と、書き込み機を内蔵しながら27.19ドル(約4400円)という価格が特徴になっている。ハードウェアの設計データはCERN OHL v2ライセンスでGitHubに公開している。
nRF54L15は、128MHz動作のArm Cortex-M33と、同じく128MHzのRISC-Vコプロセッサーを組み合わせたマイコンだ。Bluetooth Low Energyのほか、スマートホーム規格のMatterやThreadで使われるIEEE 802.15.4-2020、最大4Mbpsの独自2.4GHz通信に対応し、NFCタグ機能も内蔵する。メモリーは不揮発性メモリー1.5MBとRAM 256KB、スリープ時の消費電流は0.7〜2.9マイクロアンペアと小さい。
マイコンにプログラムを書き込むには通常、別売りのデバッガーが必要になる。このボードでは、Nordicの「nRF52820」(64MHz Arm Cortex-M4)をもう1つ載せ、これに書き込み用の標準規格CMSIS-DAPのファームウェアを出荷時から入れておくことで、その手間をなくした。nRF52820はUSB経由でパソコンとつながり、書き込み用のSWD信号とシリアル通信の橋渡しをする。開発を始めるにはZephyr RTOSの手順に従い、ボード名を指定してwest flash -r pyocdを実行すればよい。nRF Connect SDKやMicroPythonにも対応する。
2つのマイコンは「マウスバイト」と呼ばれるミシン目状の接続部2カ所でつながっており、ここを折ると独立した2枚の基板になる。それぞれが自前の電源レギュレーターとUSB Type-Cコネクターを持つため、分割後もどちらも単体で動く。書き込みが済んだあとはnRF54L15側だけを製作物に組み込み、余ったnRF52820側を別のプロジェクトのデバッガーとして使い回すといった運用ができる。
電源系には、リチウムポリマー電池の充電に対応するPMIC「nPM1300」を採用した。待機時消費電流は500ナノアンペアで、32〜800mAの範囲で充電でき、USB Type-Cのパワーデリバリー規格に応じて充電速度を自動で調整する。入出力電圧は1.8Vと3.3Vを切り替えられ、待機電流75ナノアンペアの昇降圧コンバーター「TPS63900」と組み合わせて電池駆動の機器を想定した設計になっている。基板は91×21mmで、40ピンと20ピンを2列に配置した。両チップ合わせて最大48本のGPIOを備え、基板の縁は半田付けしやすいキャステレーション(半円状の切り欠き)加工を施している。
参考として、Nordic純正の開発キット「nRF54L15 DK」は39ドル(約6400円)で、書き込み機にはSEGGER製のJ-Link OBを搭載する。Lectronzでは5個以上で25.83ドル(約4200円)、10個以上で24.47ドル(約4000円)の数量割引も設定し、EU圏内から発送するため域内なら関税がかからない。

