2.3mの3Dプリント橋で判明、材料を縛るのはコンクリートでなくノズルの太さ

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、3Dプリンターの制約を設計の計算に組み込む枠組みを作り、長さ2.3mのコンクリート橋を造形して耐荷重試験まで済ませた。試験からは、構造をどこまで軽くできるかを決めているのがコンクリートの強度ではなく、いまのプリンターの性能だと分かった。成果はAdditive Manufacturingに掲載され、大学が2026年7月15日に発表した。

コンクリートは世界で最も使われる建材で、その製造は二酸化炭素の主要な排出源でもある。3Dプリンターで造形すれば、型枠を組む手間が消え、材料も必要な場所にだけ置ける。ところが話はそう単純ではない。構造の設計では、最も少ない材料で最も強い形を探すトポロジー最適化という手法がある。ここから出てくるクモの巣のような形は、数学的には理想でも、太いノズルを持ち、急には曲がれず、1本の線で描き続けなければならない大型プリンターには作れない。

研究チームは、その断絶を埋めた。Autodeskの研究レジデンシー制度に参加し、ボストンにある同社の施設で大型プリンターを動かす担当者と直接やり取りするなかで、制約が3つに絞られた。1本の線の太さ、ノズルが曲がれる角度、そして一筆書きで印刷する必要である。これらを最適化の数式そのものに書き込んだ。

従来の手法は、まず形を最適化してから大量の後処理をかける必要があり、数日を要した。新しい枠組みは、ノートパソコンで約2分あれば、そのまま印刷できる設計を出す。造形当日に橋の寸法を少し縮める必要が生じたときも、計算をやり直して5〜10分で新しい設計が出てきた。土台には混合整数最適化と呼ぶ数学を使う。共同筆頭著者で博士課程のZane Schemmer氏は、3年前の解法ではこの問題は解けず、難しすぎるとして避けられてきた分野だと説明する。

検証では、市販のモルタルを使い、2.3mの橋を約30分で造形した。重さ約410kgの橋の上にコンクリートブロックを載せていくと、910kgを超えても目立ったたわみは出ず、事前のシミュレーションとよく一致した。

驚いたのはここからだ。共同筆頭著者でポスドクのHajin Kim-Tackowiak氏によると、設計は過剰なほど頑丈だった。荷重が約90tに達するまでは「作れるかどうか」の制約が設計を決めており、それを超えて初めて物理が効いてくる。

枠組みは数学的な最適解を出すため、制約ごとに材料をどれだけ損しているかも測れる。最も効くのは線の太さだった。今回の橋は40mmの線で描いたが、10mmの線を引ける機械があれば、安全率の内側に収めたまま材料を最大76%減らせる。上席著者のJosephine Carstensen氏は、一筆書きの制約が最も響くと思っていたが、そうではなかったと述べる。

橋はすべての部材が圧縮だけを受けるように設計した。試験後、作業員が掃除のために片隅を数cm持ち上げると橋は壊れた。設計の欠陥ではなく、引っ張られる力に弱いというコンクリートの性質が出た形になる。研究チームは次の段階として、鉄筋コンクリートに進むとしている。造形した構造にどう鉄筋を通すかが課題になる。

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