
米ペンシルベニア州立大学の研究チームが、周囲の光だけで発電し、その電力で計算と、周りの化学物質の検知までこなす1枚のチップを開発した。電池を使わず、充電もいらない。電池の交換が難しい場所でも動き続けられる小型機器につながる成果だ。研究は学術誌Nature Electronicsに掲載された。
スマートフォンやスマートウォッチをはじめ、携帯機器の多くは、数日ごとに充電が必要な電池で動く。電池の交換や充電が難しい遠隔地や埋め込み用途に向けて、身の回りの光や熱からエネルギーを得て動く電池不要の機器が、長く研究されてきた。ただ、発電と計算、センサーをそれぞれ別の部品として基板に並べると、全体が大きくなり、部品の間をつなぐ配線でエネルギーの損失も生じる。
新しいチップは、働きの異なる層を縦に積み重ねる「モノリシック3D集積」でこの課題に向き合う。一番下にシリコンの太陽電池の層を置き、周囲の光を電気に変える。その上に、MoS2やWSe2といった原子数個分の薄さしかない半導体(2次元材料)で作った計算用のトランジスタを重ね、さらに炭素1層のシートであるグラフェンでできた化学センサーを載せる。発電と計算、検知が、1枚のチップの中に収まる。
部品を平らに並べず縦に積むことで、チップを小さくでき、層と層の間でのエネルギーの受け渡しも短くて済む。これまで別々のチップを配線でつないでいた部分を積層に置き換え、無駄を減らせる。周囲に光さえあれば電池なしで動き続けるため、充電や電池交換が難しい環境でも、途切れずに働ける。
研究チームは、電池のいらないIoTのセンサーや、環境や空気の状態を見張る機器、身に着ける端末などへの応用を見込む。

