基板を30分で作るデスクトップの装置が予約開始、薬品も切削もレーザーで代替

キプロスのPewCBが、基板を机の上で作る装置「PewCB One」の早期予約を始めた。設計データを送ってから完成した基板を手にするまで約30分と説明する。工場に発注すれば数日から1週間待つ工程を手元で終わらせ、同じ日のうちに設計を直して作り直せる。生産開始は2026年9月1日を予定する。

机上で基板を作る手段としては、感光基板を薬品で現像する方法と、銅を削り取る切削機が知られてきた。前者は薬品の扱いと廃液の処理が要り、後者は削りかすが飛ぶ。PewCB Oneは波長1064nm、平均出力20Wのレーザーを使い、はんだレジストと銅、基材を選んで飛ばして配線を残す。装置は金属の箱で密閉され、粗塵用のG4と中性能のF7、活性炭による3段のフィルターを備える。レーザー安全のクラス1に適合し、扉が完全に閉まるまで発光しない。

両面基板を作るうえで最大の難所は、表と裏をつなぐ穴の内側に金属を付ける工程にある。PewCB Oneは工程そのものを持たず、材料側で解いた。あらかじめ金属化した穴が格子状に並ぶ専用の板を使い、利用者は最寄りの穴へ配線を引いて層を移る。板の縁には2.54mm間隔の穴が2列並び、コネクターなどの部品を挿せる。基材はアルミナかジルコニアのセラミックで、板の大きさは23×23mmから84×84mmまで。はんだレジストは塗布済みで、表が赤、裏が青と回路CADの慣例に合わせてある。

はんだペーストを塗るための金属板も、同じレーザーで切る。基板ができた時点で薄い金属のシートを貼り付け、もう一度装置に入れると、Gerberのペースト層に従って開口が切り抜かれる。基板に貼り付いたままなので位置合わせの治具が要らず、開口を切る際にパッドへ薄いすずの層が付いてはんだ付けもしやすくなる。使い終わったシートは捨てる。

寸法の精度は、レーザーの焦点が直径35μm、繰り返し位置決めが30μm、配線の幅と間隔が最小0.1mmとなる。0.5mmピッチ以下のQFNや0201サイズの部品を扱える。毎回の運転前に光学系を自動で較正し、受光素子の配列で全域のビーム位置を確かめる仕組みで、同社はこの技術を特許化したとしている。

制約も自社で公開している。レーザーで銅を除く際にレジストも一部削れるため、配線の側面が露出する。密なところでははんだが橋を作る恐れがあり、専用のペースト塗布と、必要ならUV硬化型のレジストペンで補う。セラミックは落とすと割れる。熱を逃がしやすいのではんだごて1本では大きな部品が付けにくく、熱風や下面加熱、リフロー炉を使う。ジルコニア製の板ならFR4に近い熱伝導率になる。ビアの位置も格子に縛られる。

本体の寸法は155×290×464mm、重さは11kgに収まる。消費電力は200Wで、家庭の電源で動く。早期予約の価格は5000ドル、日本円で約80万円になる。本体と20枚の板が含まれ、送料と関税、各国の税は別になる。納期は約90日を見込む。

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