
英Vertical Aerospace(NYSE: EVTL)は2026年5月19日、4人乗りeVTOL(電動垂直離着陸機)「Valo」のハイブリッド電動推進システムの統合テストを開始したと発表した。同日、自社開発バッテリーの量産ラインで初めてのバッテリーパック製造も完了した。
ハイブリッド型の開発は2年以上かけて英コッツウォルド・エアポート内のVertical Energy Centreで進められてきた。今回テスト開始となった「HYPER(Hybrid Propulsion Evaluation Rig)」は、ガスタービン・発電機・電気システムを一体で動かし、制御アーキテクチャや故障シナリオも含めた統合検証ができる専用施設だ。持続可能な航空燃料(SAF)に対応したガスタービンと電気発電機を組み合わせたターボジェネレーター・ユニットをプロトタイプ機に搭載して、今後の地上・飛行テストへと進む計画だ。
全電動のValoが航続距離100マイル(約160km)程度であるのに対し、ハイブリッド型の目標は最大1000マイル(約1600km)と10倍の延長を見込む。積載量も最大1100kgを目指しており、民間の地域移動だけでなく、低騒音・低熱シグネチャを活かした防衛・特殊任務への応用や、有人・無人の切り替え運用も想定している。無人機能はHoneywell製の飛行制御システムへのシームレスな統合で対応する。
バッテリー生産ラインは2026年3月にVertical Energy Centre(約1400平方メートル)で刷新された。2024年から有人飛行テストで使用してきた電池システムと同じ施設に、航空宇宙グレードの自動製造プロセスを追加し、品質の安定性と性能を強化している。生産されたバッテリーパックは英CAA(民間航空局)とEASA(欧州航空安全局)との認証手続きを支える認証機体向けに使われるほか、就航前の初期量産分としても位置付けられる。
Valoは4大陸の顧客から約1500件の予約を受けており、American Airlines・JAL(日本航空)・ブリストウ・GOLなどが名を連ねる。2026年4月には約1330億円(約8億5000万ドル)の資金調達も完了しており、認証完了までの12カ月超の事業継続性を確保している。

