
人型ロボット「Digit」を作る米Agility Roboticsが2026年9月4日、米証券取引委員会(SEC)にS-4を提出した。特別買収目的会社との合併で上場するための書類で、そこに最新型Digit v5の部品代の見通しが載っている。商用出荷を始める時点で1台あたり約15万ドル(約2300万円)、量産が進めば約3万ドル(約470万円)まで下げる計画だ。
下げ方は段階で示されている。年に1000台作る規模で約7万5000ドル(約1200万円)、年に1万台まで増やせば約3万ドルになる想定で、出発点の5分の1にあたる。同社はオレゴン州セーラムに「RoboFab」という工場を持ち、年1万台を作れる設備だとしている。設備投資をあまり足さずに生産量を伸ばせる造りだとも説明する。
売り方の前提も書いてある。ロボットの寿命を5年とし、顧客からは月8500ドル(約130万円)を受け取る。ソフトウェアの利用と保守を含む額だ。設置のために最初に約2万5000ドル(約390万円)を別途もらう。ロボットを売り切るのではなく、サブスクリプション料を取る形が軸になる。
現在地はそこからかなり遠い。2025年12月期の売上高は178万2000ドル(約2億8000万円)で、前年の31万ドル(約4800万円)から増えてはいる。ただし内訳を見ると、113万2000ドル(約1億8000万円)が出資者や役員が関わる相手を対象とした関連当事者との取引だ。第三者への販売は65万ドル(約1億円)にとどまる。
原価も売上を上回っている。同期の売上原価は447万3000ドル(約7億円)で、売上総損益は269万1000ドル(約4億2000万円)の赤字だった。作って売るほど損が出る段階にあり、部品代を5分の1にする計画はまだ始まっていない。研究開発費9164万4000ドル(約143億円)と販管費4584万1000ドル(約72億円)を加えた営業損失は1億4017万6000ドル(約220億円)で、前年の6972万1000ドル(約109億円)からほぼ倍増した。
S-4は、この1台あたりの採算がいずれも推定と仮定に基づき、Digit v5だけに関する数字だと断っている。顧客との契約条件は交渉次第であり、想定した売上や利益率を達成できる保証はないとも明記している。

