
IBMのスタートアップ向けインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub」が2026年4月15日、第9期の募集を開始した。今期のテーマは「最先端半導体×次世代サービス創出」で、最先端半導体を活用したサービスやビジネスの事業化を目指すスタートアップや研究グループを対象に、IBMが6ヶ月間のメンタリング・ネットワーク紹介・技術支援を無償で提供する。応募締め切りは2026年5月27日。これに先立ち、2026年5月11日に京都・四条烏丸のオープンイノベーション拠点「KOIN」で説明会が開催された。IBM東京基礎研究所の小西研司氏とMonozukuri Ventures CEOの牧野成将氏を招き、講演とパネルディスカッションが行われた。
第9期の採択企業には6ヶ月の期間中、メンタリング・ネットワーク紹介・技術および事業開発支援が無償で提供される。対象は先端半導体を活用したサービスやアプリケーションである。スタートアップだけでなく、大企業の一部門や研究グループなども応募できる。応募書類は事業提案のPDF(15MB以下)のみで、将来的に最先端半導体を使う可能性があれば十分だという。

説明会ではまず小西氏が登壇し、SHARPやDENSO Americaでの半導体設計・技術開発の経験を踏まえながら、IBMの半導体・AI研究を紹介した。具体例として挙げたのはIBMの現行メインフレーム「z17」に搭載されたTelum IIプロセッサだ。日常のキャッシュレス決済の多くをIBMのプロセッサが処理しているとし、来場者の身近な場面との接点を示した。2021年にテストチップの作成に成功した2nmプロセス技術については、現在主流の7nmプロセスと比べて演算性能が45%高く、消費電力を75%削減できると説明。設計と製造技術開発の両方をIBMが手がけている点を強調し、最終製品であるメインフレームを持ちながらそのコアプロセッサを自社設計する垂直統合型の強みを説いた。

続くパネルディスカッションには牧野氏が加わった。牧野氏は21年以上京都・大阪・神戸でスタートアップに関わり、現在は日米の拠点で試作・量産化支援と投資を担うベンチャーキャピタルを運営している。具体例として、AI・高性能計算向けハードウェアを開発するスタートアップ「LENZO」を、研究者と起業家の出会いから事業化につながった事例として紹介した。

議論では「大企業は市場規模の大きな領域しか着手できない。そこにスタートアップが先行して入るのが有効だ」「規制が少ない領域はスタートアップのスピード感を活かしやすい」といった知見が交わされた。小西氏は「スタートアップは多くの選択肢から確からしい選択を積み重ねていかないとすぐ行き詰まる。IBMの知見を背景とした助言にはなかなか得られない価値がある」と述べた。
今回の京都での説明会開催は、IBMが2025年7月に京都リサーチパーク事業所を開設したことも背景にある。同事業所は半導体研究と半導体製造実行システム(MES)の開発拠点と説明されており、京都とのゆかりは深い。東京(2026年4月23日)、京都(5月11日)に続き、5月15日には静岡でも説明会が開催される予定だ。応募締め切りの5月27日まで受け付けている。

