ペットボトルを電池用の黒鉛に変える方法、金属触媒を使わず天然品を上回る

スマホもEVも、電池がなければ動かない。その電池に欠かせない素材が、身近なごみから作れるかもしれない。Penn State(米ペンシルベニア州立大)の研究チームが、ペットボトルの素材から、電池に使える質の高い黒鉛を作り出す方法を見つけ、その成果がDiamond and Related Materialsに掲載された。

黒鉛(グラファイト)は、リチウムイオン電池の負極に使われる炭素材料で、電気をためたり放したりする役目を担う。EVや電子機器、大型の蓄電システムが増えるにつれ、電池向けの黒鉛の需要も伸びている。米国はこれを重要鉱物に位置付けている。一方で、ペットボトルの素材であるPET(ポリエチレンテレフタレート)は、世界で最も多く使われるプラスチックの一つだ。回収に出されても、多くは価値の低い製品に作り替えられたり、埋め立てられたりしている。研究チームは、この2つの課題を一度に解こうとした。

方法はこうだ。砕いたPETに、ごく少量の酸化グラフェンを混ぜ、丁寧に温度を管理しながら加熱する。すると、プラスチックの中の炭素原子が、整った黒鉛の構造へと組み変わる。重量比で2.5%の酸化グラフェンを加えたときに、最も質の高い黒鉛ができた。酸化グラフェンのシートが鋳型のように働き、炭素原子をきれいに積み重なった配列へ導く。できた黒鉛は、市販の天然黒鉛を上回るほど、結晶のそろった構造を示した。

注目したいのは、何を使わなかったかだ。人工黒鉛を作るときは、鉄やニッケル、コバルトといった金属の触媒を使うことが多い。だが触媒は不純物を残し、後で取り除く工程が要る。研究チームは金属触媒を使わず、グラフェン系の添加剤だけで黒鉛化を進めた。これにより、不純物の少ない黒鉛を、薬品の使用や廃棄を抑えながら作れる。精製の工程を省ければ、製造を簡単にし、環境への負担も減らせる。

大規模に作れるか、電池としてどれだけ働くかは、これからの検証が必要だという。それでも、ありふれたごみを、価値の高いエネルギー材料に変える道筋を示した。自作のバッテリーや電子工作で使う電池の中身が、将来は捨てられるはずだったプラスチックから生まれる日が来るかもしれない。

関連情報

Infographic comparing carbon materials (PET, graphene, synthetic graphite, hard carbon) with schematic structures and diagrams of carbonization, basal plane, edge sites, and layer stacking.

fabsceneの更新情報はXで配信中です

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!

最新記事

YouTube / PodCast

【PR】読んで役立つ注目記事

目次