
AMDは、メモリーをチップと同じパッケージに封じ込めた「Versal Premium Gen 2 Memory on Package」を発表した。基板に別付けしていた高速メモリーを、演算するチップと一体にまとめ、基板の面積を最大60%小さくできる。産業機器や通信、航空宇宙などの分野で、限られたスペースに高い性能を収めたい用途に向ける。
Versalは、AMDが手がける「適応型SoC」と呼ばれるチップだ。SoCは、演算や制御など複数の機能を1つのチップにまとめたもので、適応型のVersalは、用途に合わせて回路の構成を書き換えられるFPGAを組み込む。処理の内容に応じて中身を作り替えられる柔軟さが特徴だ。
今回の新製品は、このチップに、LPDDR5Xという種類のメモリーを最大32ギガバイト、同じパッケージ内に組み込んだ。従来は、高速なメモリーを基板の上に別に置き、チップとの間を配線でつなぐ必要があった。この配線は、信号の乱れを抑える設計が難しく、開発の手間とやり直しの元になっていた。メモリーを一体化すると、この設計済みの接続をそのまま使えるため、開発の期間とリスクを減らせる。
一体化の利点は、速度と省スペースの両立にある。メモリーとやり取りできるデータ量は最大で毎秒288ギガバイトに達し、それでいて基板の面積を大きく削れる。AMDによれば、外付けのメモリーを使う構成と比べて、基板の面積を最大60%減らせる。製品は3種類あり、書き換えられる回路の規模が異なる。動作温度は-40℃から110℃までと幅広く、15年以上にわたって供給を続ける計画だ。
AMDは、この製品を、通信やAIの処理、放送用の映像機器、試験・計測、航空宇宙や防衛などに向けるとしている。試供品の提供は2026年末に始め、量産品の出荷は2027年後半を見込む。既存のVersal Premium Gen 2向けの開発環境をそのまま使えるため、これまでの設計を大きく作り替えずに移行できる。

