椅子がテーブルに変わっても配線が切れない、MITの3Dプリント積み木

米マサチューセッツ工科大学(MIT)が、東京大学とミシガン大学との共同研究で組み替えて何通りもの形になる3Dプリント部品を開発した。しかも、今どの形になっているかを構造が自分で感知する。配線もモーターも外付けしない。積み木のように連結し、回したり畳んだりするだけで形が変わる。

同じグループは以前、引っ張ると太くなる構造を使って、伸ばし方で周波数が変わるアンテナを作っていた。ただし取れる形は3つだけだった。可動部品なしで周波数を変えられる利点はあったが、増やそうにも構造が許さない。

そこで持ち込んだのが、機械的な分岐と呼ばれる現象だ。定規の両端をゆっくり曲げていくと、ある力を超えた瞬間に折れ曲がる。あの急変を設計に使う。ブロックを支点のまわりに回すと分岐が起き、1個では取れなかった安定した形が現れる。ブロックを1つ足すごとに、取りうる形の数は指数的に増えていく。

形を知る仕掛けは、つなぎ方そのものにある。導電材料をブロックと連結部の内部に直接プリントしてあり、隣り合うユニットをどうつなぎどう回したかで、その組み合わせに固有の回路ができる。構造がねじれても押されても回路は切れない。外に配線を這わせずに、物が自分の姿勢を読める。

苦労したのは材料だった。曲がるだけの柔らかさと、電気を通す効率は両立しにくい。研究グループは導電材料は設計上の制約であり、ブロック間で何をどう感知するかもそれが決めたと振り返る。完成した構造を1万回以上圧縮した試験では、電気的なつながりに劣化は出なかった。

応用先として挙げるのは、けがの回復期に体位を変える介助家具、ソフトロボットの可変グリッパー、災害後に環境へ応じて形を変える仮設シェルターである。成果はACMのユーザーインターフェース技術のシンポジウムで発表する予定だ。

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