
身の回りは、目に見えない電波であふれている。WiFiルーターやワイヤレスカメラ、ドローン、各種のビーコンが、たえず電波を出している。これを「見える化」する開発キットが、クラウドファンディングに登場した。Scale RF(米カリフォルニア州)の「QuadRF」だ。Crowd Supplyで支援を募っている。
QuadRFは、4×4のMIMO構成を持つソフトウェア無線(SDR)のタイルだ。SDRは、無線機の機能の多くをソフトウェアで処理し、1台で様々な電波を扱える装置を指す。4本のアンテナが受け取る電波の到達時間の差から電波源の位置を割り出し、スマホやノートPCの画面に、周波数ごとに色分けして毎秒30コマで重ねて表示する。スマホをかざせば、電波が見える拡張現実(AR)の窓になる。

中核にはRaspberry Pi 5を統合し、制御や操作画面、リアルタイム表示、各種SDRアプリの動作をこの上でこなす。重い処理が要るときは、I/Q信号をイーサネットやUSB 3.0、WiFi経由でPCに送り、外部のSDRソフトに渡せる。信号処理にはLattice ECP5のFPGAを使う。
対応周波数は4.9〜6.0GHz帯(Cバンド)で、アンテナあたり最大40MHzの帯域幅、最大1Wの送信出力を持つ。受信のみだった同種の安価な製品と異なり、4系統の送受信に対応する。基板を専用の構造体に組み替えれば、より大規模なフェーズドアレイに拡張でき、アマチュア無線の免許があれば月面反射通信などの実験にも使えるとしている。
ソフトウェアはGPLv2で公開され、アンテナの設計データも公開予定だ。キットは499ドル(約8万1000円)から、別売の電池パックは149ドル(約2万4000円)。出荷は2026年9月30日を予定する。
なお、QuadRFは電波を送信する機器だ。日本国内で送信に使う場合は電波法の規律対象となり、技適を取得していない送信機を国内で運用するには、実験試験局の免許を取得するなどの手続きが要る。

