体温から発電する柔軟なカーボンナノチューブ材料を開発、20年来の壁を突破

クイーンズランド工科大学(QUT、オーストラリア)の研究チームが、カーボンナノチューブ(CNT)を使い、体温のような身近な熱から電気を取り出す柔軟な材料を開発した。CNTは糸のように細い炭素の筒で、軽くて曲げやすく電気を通すが、互いにくっついて固まると性能が落ちる。この20年以上の課題を、分子を使った新しい方法で解いたという。成果は学術誌Angewandte Chemie International Editionに掲載された。

熱電材料は、温度差から電気を生む材料だ。体温と外気の差のような、わずかな熱の勾配からでも電気を作れるため、電池のいらないウェアラブル機器の電源として期待される。CNTは軽さと柔軟さ、電気の通しやすさから、その有力な候補とされてきた。だが、CNT同士がくっついて塊になりやすく、それが性能の頭打ちを招いていた。

研究チームが考案したのは「ラジカル媒介分散」と呼ぶ手法だ。特別に設計した小さな分子を使い、CNTが電気を運ぶ能力を損なわないまま、1本ずつ離れた状態を保つ。筆頭著者でQUTの博士課程に在籍するShanshan Zhou氏は、既存のやり方を改良するのではなく、CNTがくっつくのを止める全く新しい方法を編み出したと説明する。この手法は応用が利くため、熱から電気を得るより高性能な次世代材料の開発につながるという。

研究チームは、この材料を使った柔軟なデバイスを試作し、体温から電気を作れること、そして繰り返し曲げたり折ったりしても壊れずに動き続けることを確かめた。論文によれば、この材料はこれまで目標とされてきた性能の基準を超える、記録的な熱電性能を示したとしている。

責任著者で、二酸化炭素を出さない発電を研究するARC研究ハブを率いるZhi-Gang Chen教授は、この技術が電池のいらないウェアラブル機器を可能にすると述べる。従来の電池に頼らず、身に着けた人の体温から電気を絶えず取り出す、健康モニタリングのセンサーやスマート衣類を思い描いているという。ウェアラブル機器のほか、工場などの廃熱の回収や、柔軟なセンサー、IoT機器への応用も見込めるとしている。

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