
米エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)とスタートアップのVitriform3Dは2026年5月11日、廃棄ガラス瓶を原料とする3Dプリント建材の共同開発を発表した。使用する造形方式はバインダージェットで、粉砕したガラス粉末をインクジェット方式で噴射した液体バインダーで結合させる。金属や木材繊維、砂などはすでにバインダージェットの材料として実績があったが、廃ガラスを粉砕した粉末の使用は今回が初めてだという。
最終製品は廃ガラス廃材を90〜95%、バインダー樹脂を5〜10%含む「エンジニアードストーン」に分類される。Vitriform3D共同創業者のAlex Stiles氏は「基本的には粉砕したガラスを接着しているようなものだ」と説明する。ガラスはシリカと炭酸ソーダ、石灰石の混合物であり、粉砕すると砂と組成が非常に近い状態になる。ORNLの建築技術研究者Nolan Hayes氏とStiles氏は現在、ORNL建築技術研究・統合センターで外壁材としての適用を中心に開発を進めている。
Vitriform3Dは、テネシー大学ノックスビル校でAlex Stiles氏とDustin Gilmer氏が博士課程在籍中に創業したスタートアップだ。両氏はORNLの研究科学者Tomonori Saito氏とIACMIコンポジット研究所の共同プロジェクトを通じて出会い、廃ガラスへのバインダージェット適用を思いついた。米国では年間8百万トン以上のガラスが埋め立て処分されており、リサイクルされているのは3分の1未満にとどまる。DOEの技術商業化基金(TCF)によれば、この建材は従来外壁材と同等コストで製造でき、製造時の排出量を75%削減できるとしている。
現在もORNLとの継続連携のもとでスケールアップと産業化が進んでいる。Gilmer氏はテネシー大学の教授に転じており、Stiles氏がVitriform3D技術の実用化を主導する体制が続く。製品ラインとしてはコースターや床タイル、カウンタートップ、外壁アクセントパネルなどが想定されている。

