
小型の原子炉を開発するアメリカのNX Atomicsが、金属3Dプリントで知られるSciakyと提携し、原子炉の部品を金属の積層造形(3Dプリント)で作ると2026年6月2日に発表した。産業用の金属3Dプリントが、商用の原子炉の製造に入る取り組みとなる。
使うのは、Sciakyが手がける「EBAM(電子ビーム積層造形)」だ。金属のワイヤーを電子ビームで溶かし、真空チャンバーの中で1層ずつ盛り上げて、目的の形に近い金属部品を作る。チタンやタンタル、ニッケル合金、ステンレスなど、扱いにくい金属を使え、大きさはミリ単位から数メートル級まで対応する。盛り上げた後は、熱処理や切削で仕上げる。
従来の削り出しでは、高価な金属の多くが切りくずとして捨てられる。ワイヤーを必要な分だけ盛るこの方式なら、材料の無駄が少なく、製造の時間も短くしやすい。Sciakyは、溶けた金属の状態を見ながらビームの強さを自動で調整する仕組みで品質を保つ。
NX Atomicsは、小型モジュール炉(SMR)と呼ぶ小型の原子炉を開発するインディアナ州の企業だ。発電所のように大きな設備を一から作るのではなく、工場で部品を量産して組み上げる考え方で、製造の効率化が課題になる。金属3Dプリントは、複雑な形の部品を、型を起こさずに作れる点が向く。NX AtomicsのJohn Warden氏は、原子力の製造を現代のやり方に変えるものだと位置づける。
Sciakyは1939年から続くシカゴの企業で、EBAMは航空宇宙や防衛、エネルギーの分野で使われてきた。両社は、この製造方式を原子炉部品の量産ラインに組み込む。

