
中国の浙江大学とオーストラリアのRMIT大学の研究チームは、光の波長を分析する力を、ふつうの画像センサーに直接組み込む微小なチップを開発した。成果は学術誌「Nature Electronics」に掲載された。一般的なカメラは色を写すが、このチップを重ねると、肉眼では同じに見える物の違いまで見分けられるようになる。
カメラは見た目を写すのが得意だが、機械での検査や環境の監視では、色や光の波長そのものを読み取る必要がある。波長には、材料の種類や表面の状態、環境の変化といった、見た目では分からない情報が表れる。これまでこうした分析には、別に大きな専用装置が要った。
開発したのは、微細な光学構造を持つチップだ。市販の画像センサーの上にこの構造を重ね、入ってきた光を波長ごとに振り分けて読み取る。装置を別に置くのではなく、撮影と同時にその場で波長を分析する。RMIT大学は、髪の毛の約1000分の1の細かさの構造を作る技術を担い、超短パルスレーザーによる加工で試作品に仕上げた。
研究に加わったRMIT大学のHan Lin氏は、チップの段階で原理が動くことを示せたのは重要な一歩だと述べた。浙江大学のJianrong Qiu氏は、理論上の可能性から、現実にどんなセンサーが作れるかへと議論を進める成果だとしている。撮影とその場での波長分析を1枚のチップにまとめることで、大きな装置を持ち運ばなくても、材料の判別や検査に使える道が開ける。
ただし、まだ製品ではなく、初期の段階だ。研究チームは今後、量産に向けた作り込みや、別の材料での検証、光の情報を組み立て直すソフトの改良を課題に挙げる。機械での検査や環境の監視、医療など、見た目だけでは足りない場面で、小さなセンサーが波長まで読み取れるかが、今後の焦点になる。

