
基板(PCB)の発注は、かつて手間のかかる作業だった。不透明な見積もりや高い初期費用、大きな最低ロット、長い納期が当たり前で、個人が気軽に頼める相手ではなかった。それを変えたのが、OSH Parkのように複数の注文をまとめて製造する相乗りサービスだ。同じ流れを、半導体チップの製造に持ち込もうとするのが、wafer.space(シンガポール)の「GF180MCU Run 2」だ。Crowd Supplyで支援を募っている。
このサービスを使うと、自分で設計したカスタムICを、1000個から作れる。1ダイ(チップ1個分)あたりの価格は、最も安い枠で4ドル(約650円)からだ。利用者は回路を設計し、wafer.spaceが製造とダイシング(ウエハーの切り分け)、発送を引き受ける。半導体の試作で壁になりがちな、数百万円規模の初期費用(NRE)や、不透明な見積もりがいらない。
製造には、GlobalFoundriesのGF180MCUという180nmのプロセスを使う。これは、デジタルとアナログを混在させられるミックスドシグナル向けで、5層の金属配線や各種のコンデンサー、抵抗器を扱える。設計には、無償で公開されているPDK(プロセス設計キット)と、LibreLaneやOpenROADといったオープンソースの設計ツールを使える。すぐ始められるプロジェクトテンプレートも用意され、自分のVerilogを入れてコマンドを実行すれば、回路の記述から製造用のデータまで一気に通せる。
枠は3種類のサイズから選ぶ。設計が小さければ、小さく安い枠を選んで費用を抑えられる。標準価格は、フルサイズの枠が7500ドル(約120万円)、半分のサイズが4500ドル(約73万円)で、いずれも1000個のダイが付く。ダイを小さな基板に実装してワイヤーボンディングまで済ませ、すぐ通電して試せる状態で受け取るオプションもある。
設計を公開するかどうかは自由だ。前回のRun 1では、大学やスタートアップ、趣味の開発者による多くの設計が集まり、その多くがオープンソースとして公開された。チップは現在、GlobalFoundriesで製造中だ。締め切りは2026年6月30日で、完成したダイの出荷は2026年第4四半期の初めを予定する。

