
3Dプリンターの造形ヘッドを自動で切り替えるツールチェンジャー「INDX」の出荷が始まった。スウェーデンのBondtechが設計し、Prusa Researchが自社機「CORE One」シリーズ向けに組み込むもので、まず早期購入者向けのFounder’s Editionが利用者の手に渡った。標準の変換キットは7月末に工場から出荷を始め、8月末までに最初の一群を届ける計画だ。1台で最大8つのツールを扱える。
INDXが目指すのは、ツールチェンジャーの速さと、フィラメント切り替え機の安さや拡張性を両立させることだ。仕組みの中心は、ヒーターや配線を持たない薄くて軽いパッシブなツールにある。ノズルは誘導加熱で非接触に温め、温度も接触せずに読み取るため、ツール側に電線がいらない。動く部分は、加熱の電子回路と、材料を送る自己調整式の機構をまとめたスマートヘッド1つに絞られる。電気シェーバーの本体と替え刃の関係に近く、可動部を軽く保って速度を稼ぐ。
交換にかかる時間は最大12秒ほどで、印刷温度に達するまでは約4秒とする。切り替えのたびに捨てる材料は約13mg(0.013g)で、隅に大きな捨て材の塔を作らずに済む。Prusaは、最も効率的な既存システムの5分の1、フィラメントを巻き戻す方式の30分の1に廃材を抑えるとうたう。同社の比較では、重さ81.7gの造形物を作るのに、方式によっては最大696.4gもの材料を無駄にし、フィラメント価格しだいで複雑な造形1回あたり10ユーロ(約1900円)から25ユーロ(約4600円)に相当する例もあったとする。

対応する材料は幅広い。PLAやPETG、ABS、TPU、水溶性のPVAなど、1.75mmで300℃までの各種フィラメントを扱える。ファームウェアはKlipperやKalico、RRFで動き、PrusaはBondtechがVoronや自作勢にもINDXを広げるとしている。色の表現でも、ハーフトーンを使う「ColorMix」という手法と8つのツールを組み合わせ、CMYKWにRGBを足した構成で幅広い色を出せる。
標準の変換キットの最初の一群の価格は、4ツール版が669ユーロ(約12万円)、8ツール版が899ユーロ(約17万円)で、いずれも税込み。上位機CORE One L向けの変換キットや、INDXを組み込んだ完成機は、2026年内の投入を見込む。INDXは2025年11月のFormnextで先行販売が始まり、1200台のFounder’s Editionは遅れをはさみながら出荷にこぎ着けた。中核の技術は特許で守る一方、Bondtechはオープンソースの取り組みや非商用の利用は歓迎するとしている。

